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韓国経済に陰り?なぜ当分混迷?日本経済復調が影響、金融緩和できない韓国のトラウマ

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サムスン電子本社(「Wikipedia」より/Roakr)
 2000年代の後半から、韓国経済は絶好調だった。ところが最近、アベノミクスで日本経済の調子がよくなると、韓国経済に陰りが見えてきた。まだマクロ経済の数字は悪くない。 14年第1四半期のGDP(国内総生産)は、季節調整済みで前期比0.9%、前年同期比では3.9%増加した。しかし、このところウォン高が進む一方、セウォル号事件の影響もあってムードはよくない。

 韓国経済の特徴をみておこう。まず第一に、韓国経済は輸出依存度が高い。輸出対GDP比を見ると、韓国は47%とG20諸国の中でもサウジアラビアに次いで第2位と高い。なお、世界の平均は25%。日本は13%で、G20諸国の中ではアメリカ、ブラジルに次いで低い。

 第二に、韓国経済の産業構造は日本に似ており、世界で日韓が競合する商品も多い。

 第三に、韓国経済は経済集中が大きい。韓国経済は、サムスンなど十大財閥企業が大きなウエイトを占めており、なかでもサムスンは大きい。そのサムスンは、14年1~3月期の連結営業利益が2四半期連続で減益になった。アベノミクスの黒田日銀金融緩和で、円安に振れた余波とみられなくもない。

 これまでも、日本が円高の時に、日本企業の苦戦を尻目に韓国企業が業績を伸ばしたことがあった。1980年代後半、90年代中盤が典型であったが、07年からの円高局面でもそれまでと同様だった。輸出依存度が高い韓国では、輸出が引き金になって国内経済が良かったが、今は円安でその逆になっているという見方もできるだろう。

 今の韓国経済は各種統計データを見る限り、実質経済成長をする一方、インフレ率は低くなっている。13年のインフレ率は1.3%。韓国中央銀行は14年2.3%、15年は2.8%と物価の上昇を見通していたが、今年4月の消費者物価指数対前年同月比で1.5%と、現実には韓国中央銀行の見通しは達成できそうにない。

 韓国中央銀行は、日本より前にインフレ目標政策を行っており、インフレ目標は3%である。2~4%の範囲が、中央銀行としてのまずまずの合格点とすれば、12年11月から連続18カ月間外している。12年11月といえば、ちょうど日本では当時の民主党政権が解散を明言し、安倍政権の誕生が決定的となった時だ。日本では、景気の谷が12年11月になっており、その後、経済復調が顕著になった時だ。

●金融緩和に踏み切らない不思議

 不思議なのは、韓国のインフレ目標が3%で、明らかにその目標を1年半もの間外しているのに、その間、金融緩和となる政策金利の引き下げは、2.75%から2.5%にした13年5月の1回だけだ。

 11年に、ウォン安、景気回復、異常気象などで韓国の国内物価が大幅に上昇し、年平均のインフレ率は4%だった。その際、輸出をしている大手企業はいいが、一般庶民の生活は苦しいという不満が出ていた。そのときのトラウマなのか、または実質経済成長しているデータがあるからなのか、韓国中央銀行はなかなか金融緩和に踏み切れないでいる。

 その一方で、韓国はこっそりと為替介入を行っているようだ。金利引き下げでは韓国からの資本流出が発生する恐れがあるため、為替介入という手段をとる。ただし、為替市場への直接介入は、08年のリーマンショック以降の日本をみても効果がないことは明らかだ。

 いずれにしても、韓国中央銀行の経済政策は人に依存する部分が多く、政権交代のような大がかりな「人の変化」がないと転換はなかなか難しい。そのため、これから韓国経済は当分混迷すると思われる。
(文=高橋洋一/政策工房代表取締役会長、嘉悦大学教授)