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“死ぬまで働け”と誓約書を書かせた「ブラック介護施設」 暗躍するブローカーは増加必至

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7月13日「四国新聞」1面より。
 よくもこんな前近代的な“奴隷”施設があったものだ。

 大阪府と奈良県で介護施設を運営している民間会社「寿寿」(児林健太社長)が、介護職として働いているフィリピン人女性たちに「わたしが死亡しても会社の責任は問いません」という趣旨の誓約書を提出させていたことが、このほど明るみに出た。

「共同通信がすっぱ抜いた記事で、東京新聞やジャパンタイムズも一面で掲載した。『死ぬまで働け』と言っているのも同然で、フィリピン外務省も問題にしていて、ひどい扱いを受けたら在日フィリピン大使館に駆け込むようにと呼び掛けている。これほどひどい外国人の人権侵害がまかり通る先進国も珍しい」(大手紙特派員)

 報道によると、寿寿は、2009年ごろからフィリピン人女性の採用を開始。マニラにある「寿寿」の出先団体が面接を行い、その際、英文と和訳の「権利放棄証書」なるものを手渡したという。

 そこには、「自然な状態」で本人が死亡しても、刑事、民事のいずれでも寿寿を責任追及の対象にしないという内容が書かれていた。

 採用担当者は「あなたを守ってくれる書類だ」と説明したというから、驚きだ。これまでに、30人ほどが文書に署名したらしい。

 寿寿のとんでもない行為は、これだけにとどまらない。厚生労働省の関係者が話す。

「寿寿は、フィリピン人職員の月々の給与から違法に天引きしていました。フィリピン人ひとりにつき数十万円を貸し付けているので、もし逃げ出したりしたとき、借金返済に充てるつもりだったようです。これは労働基準法に違反する“強制貯金”に当たりますので、返還するよう命じました」

 それにしても、逃げ出すことを想定した取り立てとは、尋常ではない。実際、フィリピン人に課された介護労働は、過酷を極めたようだ。寿寿の介護事情に詳しい支援団体の関係者が語る。

「フィリピン人女性たちは、最も多い時で、月に13回の宿直勤務をしていたようです。なかには、“連チャン”と呼ばれる、連日の泊まり込みをしている女性もいたらしい。いずれも40代の女性なんです。こんな仕事を続けたら、過労で倒れてしまいますよ」

 報道によると、これほどの過酷労働を我慢しても、月々の手取りは7万円程度。フィリピン本国に残した家族に送金しているため、手元に残るのは1~2万円しかない。生活はもうギリギリで、粗大ごみをあさりながら暮らしている女性たちもいるという。

 今回の問題、関西の一角で起きた偶発事故というわけにはいかないようだ。大手紙の政治部記者が解説する。

「安倍政権は、外国人の技能実習制度というものを介護分野にも導入する意向なんだ。そうなると、全国の介護施設に、主にフィリピン人女性たちが千人単位に入ってくるだろう。その人材あっせんをするのは、フィリピンにコネのある寿寿のような怪しい仲介業者たち。悪徳ブローカーにメスを入れないと、“寿寿問題”は多発しかねない」

 この技能実習制度は、早ければ来年にも導入されるという。外国人女性の虐待国などと汚名を受けないためにも、安易な導入は再検討する必要があるのではないか。
(文=編集部)