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家賃は崩壊している?「平均的な家賃」のウソ 不動産業界のいびつな情報流通構造

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「Thinkstock」より
 7月30日付当サイト記事『簡単に家賃を下げる人が続出?家賃崩壊の実態と背景 1万円台、あふれる空室、大家受難…』の記事を読んで「家賃が劇的に下がっているなんて聞いたことない」と思った人もきっと多いはず。では、こんな重大なトレンドが、なぜ世間一般に知られていないのか。そのナゾを解くカギは、不動産業界のいびつな情報流通構造にある。

 家賃の下落がマスメディアで報じられることはほとんどない。駅前の不動産屋に行っても、激安物件には、なかなかお目にかかれない。賃貸住宅の家賃は、ほかの消費財のように派手なセールが打たれることがないため、一般人が知る機会は極端に少ない。

 家賃に関する定期的な調査は、地価と同じく、下げているにもかかわらず「下げ止まりつつある」「下落地点が前回より減少」など、巧妙な表現を使ってマイナスイメージを最小限にとどめている。

 要するに、不動産に関する情報の出所は、ほとんどが供給側の利害関係者であるため、消費者本位の情報が流通されにくい構造が出来上がっているのだ。おおげさに言えば、まるで第二次世界大戦中の大本営発表のごとき情報操作がまかり通っているのである。賃貸サイトのお役立ちページに掲載されている地域別の家賃相場などはその典型で、多くの地域においては、およそ実情と掛け離れた数字しか出てこない。

 試しに、あなたが住んでいる地域の家賃相場を賃貸サイトで調べてみてほしい。その相場家賃と、同じ地域の新築の家賃とを比べてみると、相場家賃のほうが高いケースが目立つ。1日も早く満室にしたい新築物件のオーナーは、家賃を割安に設定する傾向があるとはいえ、いちばん高くてもおかしくない人気の新築よりも、さらに高い額を「相場」と呼ぶのは、利用者をミスリードするイカサマ行為といわれても仕方ないだろう。

●相場家賃が高くなるカラクリ

 家賃の相場データが高めに表示されるのには、いくつかの理由がある。

 第一に、「最多価格帯」ではなく「募集データの平均」を取ると、どうしても高いほうに引っ張られてしまうからだ。一世帯当たりの平均貯蓄額が1500万円との調査結果に接して、多くの人が違和感を抱くのにも似ていて、家賃も平均値を取ったとたんに実情を表しているとはいえなくなるわけだ。

 東日本レインズによる東京23区の平均家賃をみてみると、2014年1~3月時点では、9万7000円(32.90平米)である。ピークだった08年7~9月期の12万3000円からすれば、2割以上下落していることがわかり、この推移をみるだけでも、家賃崩壊現象がまさにこの数年に起きている現実が如実に見て取れる。

 しかし、家賃の絶対額は依然として高く、「平均的な家賃」と呼ぶには違和感がある。