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残業代ゼロ制度、真の狙いは中高世代の給与抑制?背景に企業を悩ます“逆転現象”

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3月25日規制改革会議公開ディスカッション内閣府規制改革推進室提出資料(「厚生労働省HP」より)
 労働時間規制の適用除外制度、いわゆる「残業代ゼロ制度」の具体的な仕組みについて、経営者・労働者の代表が参加する厚生労働省の審議会で本格的な議論が始まっている。


 現行の労働基準法は1日8時間、週40時間を超えて働かせる場合は1時間につき25%以上の割増賃金(午後10時以降の深夜残業の場合は+25%の計50%)を支払うことを義務づけている。新たな制度は簡単にいえば、一切の残業代を支払う義務をなくそうというものだ。ただし管理職(管理監督者)は残業代が出ないので、ターゲットは非管理職である。

 安倍政権が打ち出した成長戦略(「『日本再興戦略』改訂2014)では新制度の対象者について、以下の2つの要件が記載されている。

(1)少なくとも年収1,000万円以上
(2)対象者は職務の範囲が明確で高度の職業能力を有する労働者

 しかし日本では、年収1,000万円以上の給与所得者は管理職を含めて3.8%しかいない。これでは新制度の効果が薄いとして、経営側は対象者の拡大を求めている。ある経営側委員は「年収1,000万円を超えている方はほとんど時間に関係なく働いているトップレベルの方が多い。もう少し中小企業を含めて、多くの働き手が対象にとなるような制度設計がよい」と発言している。別の経営側委員は「働き方が自律的かつ創造的であれば、必然的に対象とすべきであり、年収要件は不要」とまで言い切っている。

 また、経営側である経団連の委員は高度の専門職に限らず幅広い業務に拡大すべきとし、具体的な対象業務については「基本的なことは法令で定めて、個別企業労使に委ねて幅広く対象となるような配慮が重要ではないか」と言っている。年収要件を引き下げて対象業務を企業独自に決めることになれば、対象者も広がる。経団連の榊原定征会長は「全労働者の10%程度が適用を受けられる制度にすべき」と記者会見で述べているが、10%といえば500万人弱になり、年収に換算すると600万円強以上の社員を想定していることになる。

●労働時間適用除外制度の真の狙い


 しかし、よくわからないのは、なぜ労働時間適用除外制度をつくる必要があるのかという点だ。その理由がわかれば、経済界が本当に対象にしたい層も見えてくるだろう。安倍政権の改訂版成長戦略では、その理由を「時間ではなく成果で評価される働き方を希望する働き手のニーズに応えるために労働時間の長さと賃金のリンクを切り離した制度を創設する」としているが、あくまで公式見解であり、真の理由はほかのところにあるとみられている。