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国交省、高速道路無料化撤回「料金徴収し続ける」 ETC義務付け画策、新たな道路利権か

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国土交通省(「Wikipedia」より/Rs1421)
 道路行政を所管する国土交通省が、自動車へのETC搭載の義務付けを画策している。傘下の審議会が今夏にまとめる報告書に検討方針を盛り込み、本格的な議論を始める見通し。混雑具合に応じて料金を変えるなど渋滞解消や利用者のメリット向上を強調するが、狙いはそれだけではないようだ。

 社会資本整備審議会の国土幹線道路部会が今夏にも公表する基本方針。すでに公表されている素案は「ETC2.0」を普及させる必要性を強調する。ETC2.0とは、国交省が2011年に運用を開始した次世代型ETCのことで、当初は「ITSスポット」という名称だった。ETCと渋滞情報を提供する電波ビーコン(受発信器)の次世代型を組み合わせたサービスで、従来の4倍の情報をやりとりでき、カーナビに接続すれば広範囲の渋滞情報などを取得できる。しかし「ETCのみで十分」と考えるユーザーが多いためか、普及はさほど進んでいない。

 素案では、料金収受コストを下げたり、キメ細かな料金体系を実現するため「ETCによる料金支払いの義務化に向けた検討を進めるべき」と主張。課題として、高速道路利用頻度の低い車両への対策(ナンバー読み取り装置による料金請求など)、クレジットカードを持たないユーザーへの対応、「法制的課題」を挙げた。

 そして、国交省は義務化の先をにらんでいる。前述の通りETC2.0は課金機能に加え、料金所以外に設置された設備と情報をやりとりする。つまり、一般道でも設備を置きさえすれば課金できるし、ビーコンを通じて通過情報なども把握できるというわけだ。

●新たな“財布”


 国交省には動機もある。行財政改革の一環で巨額の税収を道路整備に充てていた「道路特定財源制度」が09年に廃止。建設費を返済し終えた後に無料開放する高速道路の「償還主義」も風前のともしびだ。こうした中、中央道・笹子トンネルの天井板崩落事故のように高速道、一般道とも道路の老朽化が進む。道路特定財源のように、財務省に頭を下げなくても済む“財布”を持つことが国交省の悲願ともいえる。実際、ETCの義務化検討を盛り込んだ素案にも、「適切な維持・補修を実施するため償還満了後も料金を徴収し続けること」「一般道における大型車対距離課金の導入」などについて、「これまで以上の問題認識を持って検討すべき」と危機意識もあらわに検討を促している。

 利用率では9割に達するETCだが、保有台数ベースの普及率は6割ほど。ETC2.0となると、さらに低くなるだろう。料金体系をフレキシブルにしたり、ビッグデータを集めてさまざまな官民のサービスに生かすのは国民受益にもなる。しかし、義務化まで踏み込む必要が本当にあるのか。過去に自民道路族と組んで不要な道路を造り続けてきた国交省だけに、「国民皆ETC2.0」という新しい打ち出の小づちを手に、再び道路利権を肥やしかねない。
(文=編集部)