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シャープ、赤字転落を招いた「能天気な鈍感さ」 IGZOも低評価、液晶失速で再建頓挫

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シャープ本社ビル(「Wikipedia」より/Otsu4)
 シャープの2015年3月期連結決算は、300億円の最終赤字に転落する見通しとなった。従来予想は300億円の黒字だった。同社は14年3月期の連結決算で最終損益を2期連続の赤字から黒字(116億円)に転換。「経営再建が軌道に乗った」と株式市場から評価されたが、それも束の間、今期は再び最終赤字の見通しとなり、経営再建の迷走ぶりをうかがわせている。

 1月31日付日本経済新聞は「不採算事業の抜本的な見直しで特別損失を今期に追加計上すれば、赤字幅はさらに膨らむ」との厳しい予想をしている。同社は13年5月に13-15年度の中期経営計画を発表。15年度の連結売上高は3兆円、営業利益は1500億円、最終利益は800億円の目標を掲げてきたが、こちらも計画を大幅に下回る可能性が強まってきた。

 経営再建失速は、主力の液晶事業の急速な採算悪化が要因だが、経営再建はどこで計算が狂ったのだろうか。

●黒字転換の足元で赤字要素が拡大


「中期経営計画の初年度は目標を大幅にクリアしたが、これで慢心するわけにはゆかない。今年度はゼロからのスタートと気を引き締めて中計目標達成に取り組む」と高橋興三社長が14年3月期連結決算発表の記者会見をしたのは、昨年5月13日のことだった。だが「その時点で、高橋社長の頭の中の計画と足元の業績はすでに齟齬を来していた」と、証券アナリストは振り返る。

 シャープが発表した14年3月期連結決算は売上高が2兆9271億円(中計目標2兆7000億円)、営業利益が1085億円(同800億円)、最終利益が115億円(同50億円)で、営業利益と最終利益は揃って3期ぶりに黒字転換。しかも中計目標も上回る、非の打ちどころのない業績だった。

 黒字転換に寄与したのは3つの事業だった。

 1つ目は主力の液晶事業。同社経営危機の主因だった大型液晶パネル製造の堺工場(シャープ子会社)を12年7月、台湾の鴻海精密工業へ実質的に売却。堺工場の持ち株比率が93%から46%に低下、連結決算から外れたことで減価償却費が減少した。さらに中国の新興スマートフォン(スマホ)メーカー小米科技へのスマホ向け液晶パネルの受注拡大により、事業部門営業利益が前期1389億円の赤字から416億円の黒字に転換した。

 2つ目は太陽電池事業。メガソーラー(大規模太陽光発電所)向け太陽電池パネルの受注拡大により、同利益が前期45億円の赤字から324億円の黒字に転換した。

 3つ目は液晶テレビなどのデジタル情報家電事業。中国など新興国で液晶テレビ販売が伸びたことにより、同利益が前期99億円の赤字から128億円の黒字に転換した。

 こうした結果から、当時は「高橋改革」と呼ばれる経営再建が軌道に乗ったと思われた。シャープの経営再建を支援している主力2行も「再建への峠は越した」(三菱東京UFJ銀行)、「引き続き支援する」(みずほ銀行)など黒字転換を評価していた。