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ところが「シャープにはそれがない」と、半導体マーケターは指摘する。同社自慢の半導体技術「IGZO技術」でさえ、最終製品メーカーの評価は低い。それは小米がシャープ製以外の液晶パネル調達を増やしている事実からもうかがえる。
「小米は、IGZO技術が優れているからシャープ製を採用したとは思えない。シャープ製を採用したところ、それがたまたまIGZO技術でつくられていたという程度の認識にしかすぎない」(同)
電機業界関係者は「シャープは需要の変動が大きく、価格競争も激しい汎用品市場で勝負している限り、『液晶で経営再建』のシナリオは成り立たない。それはテレビ向け液晶事業の破綻で経営危機を招いたことで、すでに証明されているはずだ」と指摘する。
その一方で、同社にはもともと創業者・早川徳次氏の「徳尾錠」に始まり、オールトランジスタ電卓、ターンテーブルレンジ、液晶表示電卓、電子システム手帳、過熱水蒸気オーブン「ヘルシオ」、液晶ビューカム、液晶ペン入力端末「ザウルス」など数々のユニークな「オンリーワン製品」の開発で業界に新潮流を生み出してきた輝かしい歴史がある。前出関係者は「液晶のシャープを生かそうとするなら、こうしたDNAに立ち返り、4代目の町田勝彦社長時代から引きずってきた事業規模拡大思想を断ち切る必要がある」と断言する。
シャープの経営理念も「いたずらに規模のみを追わず、誠意と独自の技術をもって、広く世界の文化と福祉の向上に貢献する」と謳っている。高橋社長も就任時に「創業精神以外はすべてを変える」と公言していた。
シャープは15年3月期の赤字転落見通しを受けて13-15年度の中計見直し作業を急遽行っており、15-17年度の新中計を今年5月頃に発表するとみられている。そこで同社がどんな大胆な経営再建策を示すのかが注目される。
(文=田沢良彦/経済ジャーナリスト)
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