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町田徹「見たくない日本的現実」

安倍首相、なぜ原発問題から逃げ続ける?やっと動きだした廃炉・汚染土処理、地元の反発も

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3月14日、国連防災世界会議でスピーチする安倍晋三首相(「首相官邸HP」より)
 東京電力の福島第一原子力発電所事故から5年目に入ったことで、ようやく、原発や再稼働をできるだけ話題にしないという安倍晋三政権の姿勢に変化の兆しが出てきたようだ。先週末からスタートした福島県内の中間貯蔵施設への汚染土搬入作業や、老朽化した敦賀原発(1号機)、美浜原発(1・2号機)の廃炉処分が17日に決定したことなどが、そうした兆しである。

 世界的な課題となっている温暖化ガスの排出削減と安定的なエネルギーの確保を両立するために、国家として原発依存度の引き下げに時間をかける戦略を採るならば、いまだに23万人が避難生活を強いられている未曾有の事故の処理を加速することや、安全対策の困難な原発を選別して廃炉処分にすることは避けて通れない。もっと早く大胆に施策を実行しておくべきだった。あの事故から丸4年の歳月を要したとはいえ、真摯な取り組みが見え始めたことを歓迎したい。

 しかし、政府のトップに立つ安倍首相が、宮城県仙台市で開いた「国連防災世界会議」の挨拶で相変わらず煮え切らない態度に終始したことは残念だ。いたずらに国民の不安や疑心暗鬼を放置することになりかねない対応といわざるを得ない。そろそろ逃げ回るのをやめて、毅然とした態度で、国民に対してエネルギー・原発戦略を語りかける時期ではないだろうか。

「施設への搬入開始は、福島の除染や復興の推進にとり、大切な重要な一歩。30年後に(最終処分を)しっかりとできるように道筋を立てていきたい」

 望月義夫環境大臣は、汚染土の中間貯蔵施設への搬入開始を数時間後に控えた先週金曜日(3月13日)の閣議後の記者会見で、きっぱりとこう言い切った。汚染土は、いずれも福島県内の除染によって出たものだ。最終的に運び込む量は、東京ドーム18杯分(約2200万立方メートル)に達する可能性があるという。現在は仮置き場や民家の軒先などに積まれているが、そうした場所は福島県内に何万カ所もあり、復興作業の大きな足かせになっていた。そもそも福島第一原発の周辺は汚染がひどく、避難している住民たちが帰宅できるような除染が困難とみられていた。このため、専門家の間には早くから、こうした区域を汚染土や汚染水、汚染物質の最終処分場として活用すべきだとの意見があった。

 しかし、事故当時の民主党政権はもちろん、政権奪還に成功した安倍政権も世論の反発を恐れてなかなか決断できない状況が続いてきた。今回の搬入も、あくまでも最長で30年を上限とする「中間貯蔵」と位置付けることによって、福島県から昨年夏、関連施設の受け入れに同意を得て事態が動きだした経緯がある。