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丸紅に激震、次期社長候補を「トカゲの尻尾切り」 巨額減損の原因生んだ会長は居座り

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丸紅本社(「Wikipedia」より/Wasao babe)
 2人の常務執行役員の退任に、総合商社の丸紅が揺れている――。

 1人は次期社長候補と目されていた岡田大介・中国総代表兼丸紅中国会社社長兼北京支店長で、4月1日付で日清丸紅飼料顧問に転出した。もう1人は敏腕穀物トレーダーとして知られる若林哲・食糧部門長で、同日付で米子会社Pasternak,Baum&CO.,Inc.Directorに異動した。「買収した米穀物大手ガビロンの経営不振の責任を問われた懲罰人事」(業界関係者)とみられている。

 丸紅は2015年3月期連結決算で、1200億円の減損損失を計上する。この結果、純利益は従来予想の2200億円から1100億円に半減する。巨額減損のひとつが、13年に2700億円で買収したガビロンの経営不振による減損だ。ガビロンは中国を中心に販売が伸び悩み、利益は計画を50億円下回る100億円にとどまった。収益計画を見直し、のれん代の減損500億円を計上する。1000億円強あったガビロンののれん代を今回の処理で半分に圧縮する。

 岡田、若林両氏は朝田照男社長(現会長)時代にガビロン買収を牽引した。丸紅、伊藤忠の創業者である伊藤忠兵衛の末裔を妻に持つ岡田氏は、米カーギルなど穀物メジャーと渡り合える数少ない日本人だ。穀物ビジネスの世界では「ボリス」という愛称で呼ばれ、世界の穀物取引関係者にも一目置かれていた。

 その岡田氏は06年、東食(現カーギルジャパン)で「穀物の世界を動かす25人」の1人に選ばれた世界的トレーダーの若林氏を引き抜いて業界を驚かせた。東食時代の若林氏は崩壊前のソ連で米カーギルを凌ぐ量のトウモロコシを売買するなど、世界に名を轟かせた。
岡田氏は、その後も穀物メジャー4社を渡り歩いた辣腕トレーダー7人を年俸数億円でスカウトし、穀物メジャーのお株を奪う積極的な人材投資で取扱量は急増した。

 岡田氏が率いる穀物部隊が穀物メジャーの仲間入りするために勝負をかけたのが、米ガビロンの買収だった。穀物メジャーと呼ばれる企業は5社存在する。米カーギル、米アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)、仏ルイ・ドレフュス、蘭ブンゲ、スイスのグレンコアである。ガビロンは、正確には準メジャーだが、米国ではADM、カーギルに次ぐ3位の穀物商社である。ガビロンの買収によって丸紅=ガビロン連合は一気に米国2位に躍り出て、穀物メジャーの一角を担うことになった。

●中国での誤算


 だが、ガビロンの買収は誤算が続く。最大の誤算は中国である。丸紅は12年5月にガビロンの買収を発表、同年9月に子会社にする予定だったが、12年秋以降、沖縄県・尖閣諸島をめぐる日中対立が激化したことが原因で、中国当局の合併・買収審査が大幅に遅れた。中国商務省は13年4月、丸紅によるガビロンの買収を条件付きで承認した。中国向け大豆輸出で首位の丸紅がガビロンを買収すれば、中国市場の寡占化が進むと判断し、両社の中国事業に以下のような厳しい義務を課した。