15年3月期の期初予想を据え置いたのは、三菱商事と伊藤忠商事のみ。三菱商事の純利益は4000億円(前期4447億円)、伊藤忠は3000億円(同3102億円)。ともに第3四半期までの非資源分野の利益が過去最高となり、資源分野の落ち込みを補った。
資源分野の比率が高い三井物産は15年3月期の利益予想を3200億円(同4221億円)に引き下げた。巨額減損を計上した住友商事は100億円(同2330億円)、丸紅は1100億円(同2109億円)と大幅な減益決算となる。
資源分野の損益が悪化した主因は、原油など資源価格の下落である。5社の中で最大の減損を計上したのは住友商事。1928億円に達した減損損失のうち米国シェール関連の損失が1736億円。採掘コストに見合う収入が見込めず、同案件から撤退する。さらにオーストラリアの石炭開発関連が同242億円、米国のタイヤ事業で同219億円を計上した。その結果、14年4~12月期連結の最終損益は102億円の赤字(前年同期は1804億円の黒字)に転落した。4~12月期の赤字は02年3月期に四半期決算を導入して以降、初めて。通期での減損損失は2400億円に膨らむ。
●成長を牽引してきた資源事業に暗雲
14年4~12月期は原油安の影響などにより三井物産は480億円、三菱商事は北米や欧州のガス・石油開発事業で350億円、伊藤忠商事も米石油ガス開発で130億円の減損をそれぞれ出した。総合商社が得意としてきた鉄鉱石や銅、石炭といった資源価格が低迷しているため、減損が発生した。三井物産は、減益要因のうち710億円が鉄鉱石、100億円は石炭の市況悪化による。三井物産は、鉱山と石炭の減損の合計が石油・ガス関連の減損額を上回る。丸紅はチリの銅事業で100億円、オーストラリア・カナダの石炭事業で320億円の減損を計上した。
過去10年の間、総合商社は資源事業の拡大に支えられて成長してきた。三菱商事と三井物産は「資源商社」と皮肉られるほど資源依存度が高い。しかし、石炭や鉄鉱石などの市況は11年をピークに低調に推移しており、各社は高値で買った案件の減損処理に追い込まれた。
5社とも14年4~12月期決算発表の席上で、通期で資源エネルギー関連の追加減損の可能性があるとの認識を示した。石油や天然ガス、鉄鉱石の価格はすべて値下がりしており、開発計画の見直しも当然あり得る。成長を牽引してきた資源事業が、大きな曲がり角に差しかかっている。