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VW不正問題、全世界の自動車会社が戦々恐々 カタログ数値と実際値の乖離問題が浮上

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フォルクスワーゲンに関する報道について(「フォルクスワーゲン 公式HP」より)
 世界的な一大スキャンダルに発展している独フォルクスワーゲン(VW)のディーゼル車の排ガス不正問題に、自動車業界全体が神経をとがらせている。VWの不正行為が自動車メーカー1社による暴走というよりも、長期間にわたって不正を見抜けなかった「仕組み」にも問題があると見られているためだ。すでに欧米当局などは、ディーゼル排ガス試験方法を厳格化することの検討に入っており、VW以外の自動車メーカーにも影響が及ぶのは必至だ。


 VWは排ガス規制を逃れるため、ディーゼルエンジンを制御するECU(電子制御ユニット)に、当局による検査を検知すると有害物質の排出量を大幅低減するソフトウェアを搭載していた。自動車の排ガス検査は、回転するローラーに自動車のタイヤをのせて路上走行状態を再現できる「シャシーダイナモ」と呼ばれる測定装置で検査される。VWはこの仕組みを悪用。一定の速度やハンドルが固定されるなどの条件をソフトが検知すると、排出ガス低減装置がフルに稼動して有害物質の排出量を低減する。通常走行の場合、この機能が働かずに有害物質の排出量が増える。

 VWの不正が発覚したのは、NPOであるICCT(国際クリーン交通委員会)が米ウエストバージニア大学にディーゼル車の排ガス検査を委託したのがきっかけだ。同大が2013年に実際の路上を走行させて排ガスを検査したところ、「パサート」などのVW車で基準を最大で40倍上回る窒素酸化物(NOx)の排出量が検出された。これを受けて同大は米環境保護局(EPA)に通報、VWは「複数の技術的な問題」としか説明しなかったとされる。EPAは納得せず、VWと約1年間にわたってやり取りを続けてきた。最終的にはEPAがVWに対して、明確な説明がない場合は新型車の認証を認めないと通告、これを受けてVWは不正なソフトの搭載を認めた。

 VWグループ全体で、不正なソフトを搭載したモデルは全世界で1100万台に及ぶ。この不正なソフトをディーゼル車への搭載を決めたのは2005年から06年頃で、08年に米国で実際に販売開始したとされ、長期間にわたって不正は見逃されてきた。

不正に手を染めた理由


 VWが企業存亡の危機にも陥りかねないリスクを冒してでも不正に手を染めた理由は何か。

 米国販売のてこ入れをするため、もしくは排ガス基準をクリアしながら燃費を少しでも向上するためとの見方もあるが、不正ソフトを搭載した車両はドイツで280万台、英国、フランスなどの欧州各国や韓国などアジアでも販売されている。世界的にも最も厳しい米国の排ガス基準をクリアするために排ガス機能をフル活用すると、排ガス後処理装置が壊れるためでは、との見方もあるが、VWが不正を行っていたのは最新の規制であるユーロ6対応ディーゼルエンジンの一世代前のユーロ5対応のもので、ユーロ6対応ディーゼルエンジンには不正なソフトを搭載していないと明言しており、技術的に遅れていたとはいい難く、現時点で真相は明らかになっていない。