(1)希望を生み出す強い経済
(2)夢を紡ぐ子育て支援
(3)安心につながる社会保障
安倍政権は、発足以来経済成長を政権運営の大きな柱としてきた。そして株価は上がり、景況感は好転した。しかし、一部の企業の業績が上向き、内部留保額が増えただけで、国全体として経済の好循環が成り立っているわけではないと指摘する声もある。
「労働運動の闘士」と呼ばれ、55年以上最前線で闘い続けてきた「東京管理職ユニオン」のアドバイザー・設楽清嗣氏は、「経済成長を最優先する路線では、日本経済を再建することができない」と語る。成長路線を軌道修正するチャンスであったのが、2009~10年の民主党・社民党・国民新党の連立政権だったと指摘する。
「当時、内閣のひとりと議論をする機会があった。この男性は我々ユニオンと同じ志を持っていたが、いざ民主党が与党になると態度が変わった。『今の民主・社民・国民政権では、経済成長を優先することになっている。それに異を唱えることはできない』と言っていた。
あの頃の民主党は、自民党と似たような政策しかなかった。今後の経済社会をどのようにするか、そこに向けてどうするべきかを深く考えていないようだった。つまり、今後の社会を構築する力が著しく弱い。経済成長を最優先し、それで得た富を国で再分配する考え方は、ケインズ的福祉国家を主張する共産党も同じようなものだ。それは、時代感覚がずれている」(設楽氏、以下同)
設楽氏の持論は、経済社会の草の根の小さな会社や事業所、労働者層が互いに助け合い、支え合えるような仕組みをたくさんつくるべき、というものだ。
「そのひとつが、労働者の自主管理による企業再建だ。こういうところをいかに増やし、強くしていくか。それが今、問われている。
日本の場合は、欧米や南米の国々に比べても草の根の力が弱すぎる。これでは、経済再建はできない。アメリカの民主党もイギリスの労働党にも、それを心得た指導者が現れた。日本の政治は、経済社会とかけ離れたところにある。国会や内閣などが国民の生活や庶民の意識とはまるで違う論理で動くから、問題が次々と起きる。その溝を埋めるためにも、我々は政治に働きかけをしないといけない」