自民党に投票する若者たち
10月に衆院選が終わり、与党圧勝の結果に終わった。数年前から言われていることだが、若者は与党、特に自民党を支持する傾向が強まっている。中日新聞の出口調査(中部7県)の結果をみてみよう。
NHK出口調査(全国)でも、同様の傾向が見られる。
20代の若者のほぼ半数が自民党に投票しており、これは、どの年齢層と比べても高い割合だ。逆に、共産党や立憲民主党など、いわゆる左派、リベラルを標榜する政党に投票した人の割合は最も低い。中日新聞の調査では、60代では共産党と立憲民主党を合わせた数字が、自民党を大きく上回っているのに、20代では自民党の半分にも満たない。
若者は、政治に無関心という以上に、革新政党への支持が激減し、保守政党、とりわけ最も伝統的な自民党支持に回っているのである。与党が選挙年齢18歳への引き下げを主導したのも、この傾向を知っていたからに違いない。
「若者は革新」という従来の常識は通用しない
「投票行動研究会」の調査でも、1976年には20代の自民党支持率は18%、社会党など野党支持率は37%。一方、50代の自民党支持率は41%、野党支持率31%であった(投票行動とは違うので100%にはならない)(朝日新聞、2016年9月30日朝刊より)。
選挙外でも、1960年代末には全共闘運動など、学生を中心として反体制運動が盛り上がったのに対し、中高年はそれに対して批判的であった。1980年頃盛り上がった反核平和運動でも、いまだに若者がその活動の中心であった。
しかし、今となっては、その常識が通用しなくなっているのは、先の調査でも明らかである。前回の参議院選挙でも同じ傾向がみられたので、若者の自民党支持は、単なる一過性の現象ではなく、トレンドとなっていることがわかる。2015年に行われた安全保障関連法案に反対するデモでも、報道写真等を見る限り、高齢者が目立って多く、若者の姿をみることは希であった。
つまり、現代日本では若い人ほど保守、つまり自民党中心の政権を支持し、60代を中心とした高齢者ほど「革新」政党支持という従来の常識とは逆の現象が起きている。
では、どうしてそうなったのだろうか。