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恐らくワタミの復活は「ない」と考えられる理由 「外食業界の星」はなぜ没落したのか?

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 ワタミ創業者である渡邉美樹氏が師匠である石井誠二氏から学んだのは、主婦の力を活用することだった。例えば、刺し身の端材を別の料理に利用するなど、家庭で調理している時に当たり前のように行なっている主婦の知恵を取り入れたのである。一時期は2000人の主婦を束ね、手づくりとチェーン化の両立を図ったのである。 

 このまま「家庭の食卓」をめざしていたら、ここまでの店数になっていたかは別にして、和民は今でも消費者の支持は得ていたのではないか。

「家庭の食卓」から遠のいてしまった


 しかし、競争を意識し、商品にグレード感を求めるようになって、和民の商品構成は家庭の食卓とはかけ離れていった。マーチャンダイジング力も備わっただけに、いい食材を手に入れられるようになったこともそれを促した。

 だが、消費者は大衆居酒屋にそこまでを求めない。素材を活かせる技術が各店舗段階までは浸透していないから、せっかくの食材の魅力も損ねてしまう。

 さらに追い打ちをかけたのが、ブラック企業のイメージだ。新しいステージを迎えたのなら、新しい和民を再構築しなければならないが、その前に企業イメージの悪化が重なり、和民は消費者の選択肢から外れていった。

 ワタミグループでは今年4月から、人気の日本酒「獺祭」のシリーズ商品である「獺祭 等外」を和民、坐・和民、わたみん家で発売。これを集客の目玉と考えていたようだが、和民に日本酒を飲みに行こうと考える消費者がどれだけいるだろうか。飲むのであれば、専門店に行こうと考えるのが現在の消費者だ。これまで和民が投入してきたアッパー志向の商品・食材についても同じことだ。

 それを理解せず、こういう商品開発をしている限りは、和民ブランドの復活はないだろう。
(文=山口芳生/ジャーナリスト)