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転落死続出の「虐待」老人ホームのトンデモ実態!職員の年収3百万円台、高い離職率…

文=編集部
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低い給与で高収益実現

 メッセージの営業利益率は9.3%で、ライバル他社を上回る。それは介護職員の給与が業界平均より低く抑えられていることによる。連結対象の従業員数は7227人、臨時雇用者は1万645人。単体の従業員の平均年間給与は358万円。同業他社に比べて50万円は低い。オーナーの橋本俊明会長は、「週刊文春」(文藝春秋/10月1日号)の取材に対し、「職員の給料を上げると赤字になる」と語っている。資産管理会社の東畦商事、橋本会長と妻を合わせたメッセージの所有株式数は全体の34.67%(15年3月末現在)。

 メッセージは10月5日、同社グループが運営する介護付き有料老人ホームでの転落死や虐待の問題について調べる、第三者調査委員会の設置を決めた。11月末をメドに結果を公表する。同委員会は、弁護士2人と大学教授の3人で構成する。

 高齢化に伴い、介護の需要は確実に増える。国民の誰もが介護サービスを利用できるよう、供給が不足してもサービス価格が高騰することはない。介護職員の給与が低く抑えられているため、介護職員は慢性的に不足している。

 東京商工リサーチによると、15年1~8月累計で、老人福祉・介護事業の倒産は前年同期から5割増の55件。介護保険制度が導入された2000年以降で最悪のペースになっている。倒産した55件の半分は、10年以降に設立された新規参入組だった。住宅メーカーが主導して、高齢者向け住宅がつくられている。完成後、介護業者にリースされる。箱物の施設はあっても、人手が足りず経営は苦しい。

 メッセージのSアミーユ川崎幸町は頭金なしで、食費や光熱費を含めた月額22万円という超安値で入居者を集めていた。頭金なしなら月額30万円、月額22万円なら頭金は500万円以上必要になるのが、業界の常識となっている。

 低価格を売りに入居者を集めるが、低賃金などを理由に離職率も高い。そうした状況が職員による虐待を引き起こしたが、今回発覚した事件は氷山の一角とみられている。介護離職者が年間10万人を超える中、安倍晋三首相はアベノミクスの「新3本の矢」として「介護離職者ゼロ」という目標を掲げているが、達成までの道のりは険しい。
(文=編集部)

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