「等価交換は『10割分岐』というのですが、これからは11.2割分岐が最大レートになります。つまり、従来は等価交換なら280玉で1120円もらえたものが、今後は1000円しかもらえなくなるということ。いうまでもなく、ユーザーの換金の利幅は減ってしまいます」
そう語るのは、遊技業界ジャーナリストのPOKKA吉田氏だ。ただでさえ30兆円市場といわれた最盛期と比べ、18兆円まで売り上げが減少し、遊戯人口も3分の1に当たる1000万人にまで落ち込んだといわれるパチンコ業界。そんななか、なぜこのような改革に踏み切ったのか。
「等価交換はユーザーにとってのうまみは大きいですが、店側の立場でいうと、営業的には楽ではありません。店が儲けるには出玉率を低くするしかありませんが、そうすると客は打てば打つほど玉が減ることになります。そうすると客は来なくなってしまうので、なかなか当たらないが、当たったときには大量に玉が出るという設定にします。そうやってバランスを取ってきたわけですが、それによって射倖性(ギャンブル性)が高くなりすぎた結果、ライトユーザーが離れ、客足も減っていったという見方が業界にはあります。ただし、これは一般論で、ほかにも警察による『一般入賞口』への入賞指導の徹底や、2017年4月に控える消費税増税の問題など、いくつかの要因が重なっているのです」
一般入賞口とは、パチンコ機のヘソではない部分に搭載が義務づけられ、玉が入ると最大3~4個の入賞出玉がある穴のこと。これまでホール側は、釘調整でこの一般入賞口を殺していたところが多かったが、今年になって警察から指導が入ったのだという。これが徹底されるとユーザーはかなり玉持ちが良くなるため、等価交換ではさらに店のダメージが増えるという懸念がひとつ。また、1玉4円やメダル1枚20円といった価格は消費税込みの金額であり、再来年4月に消費税が10%に引き上げられれば、等価交換ではもうやっていけないという不安もあるという。
11月から「マックスタイプ」の新台導入も規制
話はこれだけで終わらない。ただでさえ等価交換の廃止を残念がるパチンコファンに、さらに追い打ちをかけているのが「マックスタイプ」と呼ばれる、現行の内規で決められた初当たり確率の下限である400分の1にギリギリまで近付け、出玉と連チャン率をマックスまで上げた新台導入の規制だ。