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新見正則「医療の極論、常識、非常識」

テレビを観ると認知症になる? テレビの情報を信じて踊らされる人々

文=新見正則/医学博士、医師
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テレビを観ると認知症になる? テレビの情報を信じて踊らされる人々の画像1「Thinkstock」より

 今日の極論君は、「テレビを観ると馬鹿になる。認知症になる。そして、正しいことを放送していない」と立腹しています。一方で、いつものように常識君は「テレビの立場も考えてあげないと、まずいんじゃないの」という大人らしい主張です。

 テレビを観ると馬鹿になるかは定かではありませんが、認知症になりやすいという報告は散見されます。テレビは一方向の情報発信手段ですから、認知症の進行防止にはあまり役に立たないのです。

 認知症の進行防止には、双方向の情報刺激が必要です。つまり話を聞いて、そして答える。話した内容に反論されて、また考えて返事をするといった双方向性が何より大切なのです。つまり、老人会などの世間話、いわゆる井戸端会議が認知症の予防や進行防止には大切です。

 極論君の「テレビは正しいことを放送していない」という主張は、ある意味では正しいですが、情報に偏りがあるのは致し方ないということです。日本ではテレビを持っていると強制的に払わされる受信料で成り立っているNHKと、視聴者の希望でお金を払って視聴する課金型のテレビを別とすれば、多くの人が観ているテレビはスポンサーのお金で成り立っています。そうであれば、スポンサーの意向とあからさまに反する内容はなかなか放送できないでしょう。精一杯放送しても、少ない分量になることもあるでしょう。そんな当たり前の前提を理解していることが大切です。

 スポンサーがいてこそ、無料で結構おもしろい内容を観ることができるのです。駅でビラが配られていて、そこに生活情報や健康情報が載っており、その一部に広告が挟み込まれていれば、ある程度のバイアス(片寄った見方)がかかってつくられていても致し方ないと思います。

 ところが、スポンサーで成り立っているテレビに同じような感覚を持つ人は、実はマジョリティーではありません。多くの人が、テレビの生活情報や健康情報を頭から信じています。

 また、常識君のように空気が読める大人は、あえてメディアで「○○は意味がない」とか、「○○は健康に悪い」などと積極的には発言しないのです。世渡り上手な大人は敵をつくらないのですよ。そんな常識君タイプの大人が大多数ですから、本当はちょっとおかしいなと思うことがあっても、それを否定する報道は基本的に少ないのです。だからこそ、たくさんの健康情報が毎日発信されています。正しい報道は、その真偽をしっかりと確かめることで成り立つのです。

新見正則/医学博士・医師

新見正則/医学博士・医師

1959年生まれ
1985年 慶應義塾大学医学部卒業
1985年~ 慶應義塾大学医学部外科
1993~1998年 英国オックスフォード大学医学部博士課程
1998年~ 帝京大学医学部外科に勤務

 幅広い知識を持つ臨床医で、移植免疫学のサイエンティスト、そしてセカンドオピニオンのパイオニアで、モダン・カンポウやメディカルヨガの啓蒙者、趣味はトライアスロン。著書多数。なお、診察希望者は帝京大学医学部付属病院または公益財団法人愛世会愛誠病院で受診してください。大学病院は紹介状が必要です。

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