キティを「殺した」サンリオの失敗、肉まんでも登場 ミッキー長寿のディズニーとの差
サンリオのキャラクター「ハローキティ」と衣料品大手の「ユニクロ」との間にはなんの関係もないように思えるが、実は共通点がかなりある。
どちらも海外で、特にアジアでは知名度の高いブランドだ。欧米を含めて世界的に名の知れたキティに比べると、アジア中心のユニクロはちょっとローカルといえる。だが、米国にはニューヨーク五番街の旗艦店を含めて約40店舗、欧州にも英ロンドン、仏パリといった大都市を中心に19店舗ある。
そして、ユニクロが米国市場で苦戦を強いられ、進出してからの10年間で赤字が増大し続けていることが問題となっているように、キティも『アナと雪の女王』(ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ)の人気に押され、米小売店の棚スペースの半分くらいを(アナ雪キャラに)奪い取られたことが話題となっている。
とはいえ、決算の数字を見る限り、ユニクロの親会社であるファーストリテイリングもサンリオも好調である。ファストリの2015年8月期の連結業績は、売上高、利益ともに過去最高で、売上高は1兆6000億円を超え前期から21.6%増、純利益は前期比47.6%増の1100億円だ。
サンリオにしても、15年3月期で売上高(745億円)、営業利益ともに減少はしたが、14年までは毎年のように最高益を更新していた。15年度も、営業利益率はなんと23%という驚異の高さだ。
つまりどちらも、ほかの多くの企業にしてみればうらやましい限りの成績だ。だが好調が続いているからこそ市場の期待感も大きく、かえってちょっとした不安材料で株が下がったりする。
ユニクロとキティ、ブランドに陰り?
たとえば、ユニクロの国内既存店売上高が15年6月から8月までの第4四半期に前年比で下がったと騒がれた。サンリオも、14年5月に利益率の高いライセンスビジネスの見直しをするのではないかとの見方が広がり、株価が6000円台から2000円台に急落した。
サンリオの場合は、ビジネスモデルを変えるかもしれないという大きな話で、「ちょっとした不安材料」には含められないかもしれない。しかし、両者ともにブランドに陰りが出てきていることを市場は感じ取って敏感に反応しているといえる。
「ブランドに陰り」と書いたが、これは売り上げの原動力となるブランド力が落ちたといっているわけではない。そうではなく、ユニクロやキティのブランドの個性、アイデンティティがあいまいになってきたという意味。満月に雲がかかって暗い空との境界があいまいになっているという意味での「陰り」だ。