その結果、「気がついたら1日中座りっぱなし」というビジネスパーソンも多いのではないだろうか。しかし、最近、この「座りっぱなし」に警鐘が鳴らされている。
9月29日付「ウォール・ストリート・ジャーナル日本版」では、「職場の座り過ぎに注意、2~4時間立つのが健康上理想」として、長時間の着席などにより、がんや糖尿病、心疾患といった、さまざまな慢性疾患を引き起こすリスクが高まるとしている。
また、11月11日の『クローズアップ現代』(NHK)では「“座りすぎ”が病を生む!?」として、長く座り続けることで体の代謝機能や血液の流れに悪影響を及ぼし、結果的に狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病などのリスクが高まるという研究結果が放送された。
同番組では、世界20の国や地域で座っている時間を比較したところ、日本は7時間で最も長く、“座りすぎ大国”であるという調査結果にも言及している。さらに、番組中、工場勤務の50代男性が「デスクワークの人よりは、立ち、動いていると思う」と自信満々で加速度計による調査に臨んだが、結果は1日のうち座っている時間が約9.8時間、歩くなど動いている時間はわずか1時間だった。
デスクワークが多い上、日頃の運動不足などからも目を背けている男性諸氏にとっては、なんともドキッとする内容だろう。
1日4時間以上のテレビ視聴で、死亡率が46%上昇
実際、座りすぎと健康には、どんな因果関係があるのだろうか? 新潟大学名誉教授の岡田正彦氏は、以下のように語る。
「今から10年ほど前のことです。『テレビを見ている時間と、将来の死亡率との関係を調べる』という、不思議な調査が世界中で行われました。なぜ、そんなことが調べられたのかはわかりませんが、いわば流行の研究テーマだったのです。
例えば、オーストラリアで行われた調査では、テレビを『1日に4時間以上』見ている人は、『2時間以下』の人に比べて、7年後の死亡率が46%も高くなっていました。注目すべきは、どの国の調査も、結果がほとんど同じだったことです。
学術調査では、対象となる人々も分析法も異なるため、たとえ目的が同じであっても、結果が一致しないことがしばしばあります。しかし、前述の調査に限っては、ほとんどの結果が一致しました。これは、それだけ結論が確固たるものだったということでしょう。