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超高収益&超秘密主義の世界的「謎」企業・ファナック、突然業績悪化で捨て身の変身!

文=編集部
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 往年の輝きを取り戻す秘策はあるのか。

 6月の定時株主総会で社長が交代した。副社長の山口賢治氏が社長に昇格、社長の稲葉善治氏が代表権のある会長に就いた。社長交代は03年以来、13年ぶりのことだ。最高経営責任者(CEO)、最高執行責任者(COO)のポストを新設し、それぞれ稲葉氏と山口氏が兼任となった。

 ファナックは1972年、富士通のNC部門を分離して、富士通の子会社として発足した。社長の稲葉清右衛門氏は脱・富士通を進め、完全に独立。03年、息子の善治氏に社長の椅子を譲った。清右衛門氏はファナックの実質的な創業者だが、サラリーマン経営者である。オーナー経営者ではない。息子を社長にしたことから、「世襲人事」と社内外から非難を浴びせられた。

 善治氏の次の社長と取り沙汰されていたのが長男の清典氏だった。35歳の若さで取締役になり、現在、序列5位の専務執行役員・ロボット事業本部長である。だが、清典氏が力を入れてきたロボドリルが失速したため、「世襲人事を断行する口実がなくなった」(関係者)と囁かれている。

 山口氏は1993年東京大学大学院工学系研究科精密機械工学専攻を修了し、ファナックに入社。工場運営の現場が長く、ロボットを使った自動化を推進してきた。39歳で専務となり、早くから社長候補と目され、今秋稼働を予定している栃木県壬生町の新工場の建設を陣頭指揮してきた。

NTTグループと提携してIoTを推進

 山口氏の社長としての初仕事は製造現場でのIoT(モノのインターネット化)の取り組みである。

 ファナックは今年4月、loT推進を掲げ、米最大のコンピュータネットワーク機器開発会社、シスコシステムズなどと共同で工場の生産効率を高めるシステムを開発すると発表した。

 シスコシステムズ、米制御機器大手のロックウエルオートメーション、東京大学発の人工知能関連ベンチャー企業プリファードネットワークス(PFN)の3社と組む。

 IoTと機械が自ら学習して能力を高める機械学習を組み合わせ、リアルタイムで生産ラインを改善する。機械やセンサーとつなげ工場の稼働状況を一元管理する。

 7月28日、工作機械やロボットを中心とするIoTの分野でNTT、NTTコミュニケーションズ、NTTデータのNTTグループ3社と協業すると発表した。NTT各社はファナックがすでに立ち上げたシスコシステムズなどとの連合軍に加わる。

 これでファナックのIoTの根幹となるプラットフォームの中核メンバーが出揃ったわけで、今秋以降の実用化を目指す。

 ファナックは、これまで自社製品の競争力を徹底的に磨くことで抜群の収益力を維持してきた。NC装置、自動車向け多関節ロボット、スマホ向けロボドリルがそうだ。圧倒的な高収益を保つことで、情報の開示が少ないという株式市場の非難をかわしてきた。ファナックの経営実態はベールに包まれており、“情報開示に消極的なリーディングカンパニー”と酷評されてきた。

 しかし、時代は変わった。個々の製品の魅力だけでは、いずれ戦えなくなる。自社にない技術を持つ技術集約型の企業との連携が欠かせない。

 IoTが、ファナックが勝ち続けるためのキーワードとなる。
(文=編集部)

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