その放送直後から、インターネット上を中心に宿題を業者に依頼することの是非をめぐって激論が巻き起こっている。「尾木ママ」こと教育評論家で法政大学教授の尾木直樹氏は、自身のブログで「子どもたちに対しては『教育犯罪』そのものです」「れっきとした詐欺罪です」と強い口調で批難した。「子どもに詐欺の正当性を教え、お金でなんでもできるという歪んだ価値観を教えることになります。子どもの学力を奪い誤魔化すことになりますね」と述べ、やりたくないことは金で解決するとした姿勢を子どもに植え付けてしまう危険を説き、学力低下の要因となり得るとの持論を展開した。
この尾木ママの指摘を受けて、「宿題を業者に丸投げして子供は一体何を学ぶのか」「親は子どもに、頭を使わずにお金を使うということを身につけさせたいのか」などと、同調する意見がネット上で続出した。
ネットで検索すると、宿題代行業者は数多くヒットする。いくつかのホームページを見てみると、「『宿題が提出期限に間に合わない』『どんな宿題をやればいいかわからない』『宿題で良い点を取りたい』など…そんな悩みを我々が解決します!」などと、宿題に追われる子どもに救いの手を差し伸べるような文言が並ぶ。サービス内容はさまざまで、作文限定のサービスもあれば、漢字・算数ドリルから読書感想文、絵、自由研究まで教科のジャンルは問わないサービスを展開している業者もある。料金はドリル1冊で3500~1万2000円、作文は400字詰め原稿用紙1枚5000~8000円と幅が大きく、相場はわかりにくい。
業者数は多く、クオリティも大きく違うようだ。宿題を代行する人員にしても、大学生と社会人が半々くらいのスタッフであると明記しているところもあれば、「学生のアルバイトではありません。作文添削のプロが担当いたします」と書いているサイトもある。多くの業者は、夏休み中は依頼が普段の3倍以上になるといい、8月末まで休みが取れず、一部依頼を断るほどだという。
●宿題代行業のニーズは増えている
今回は、そんな宿題代行業を営むA氏に話を聞いた。
–宿題代行をする業者は増えていますか?
A氏 ここ数年増えているように感じます。弊社についても依頼が増えているので、子どもの宿題を業者に頼もうと考える親が増えているのだと思います。
–その原因としては、最近の宿題が難しくなったり、量が増えたりしているということでしょうか?
A氏 特に難しくなっているとは思いません。それどころか、5年前、10年前に比べると宿題の量が減っている学校が多いように感じます。