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宿題代行業者「詐欺批判はまったく的外れ」 受験過熱でニーズはさらに増える?

文=平沼健/ジャーナリスト
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–それでは親たちは、なぜ宿題を業者に代行させるのでしょうか?

A氏 本音はわかりませんが、依頼理由としては「受験勉強に集中させたいから、受験科目に関係ない宿題を外注する」ということが最も多いです。ほかには、「クラブ活動が忙しい」「家族で長期間旅行に出かけるから」と続きます。

–困った依頼などはありますか?

A氏 植物や星の観察を依頼されたことがあったのですが、断っても「お金は出すから、なんとかやってほしい」と懇願され、結局引き受けたことがあります。面倒な宿題でした。ほかに依頼内容ではないですが、「宿題に一問でも間違いがあったらお金は返せ」とか「作文で賞を取ってほしい」「絵画のコンクールで入賞させてほしい」などと、無理な注文をつける親が時々いて困ります。

–批判する意見も多いですが、悪いことをしていると思うことはありますか?

A氏 まったくありません。ニーズがあるからやっているだけです。実際、感謝されることのほうが多いです。世渡りの術を覚えられて、子どもにとっても悪いことばかりではないはずです。昔から、授業を休んだ友人にノートを見せてあげたりしていましたし、夏休み明けに「宿題を見せて」と頼まれることは、よくありました。それと何も変わらないと思っています。

–詐欺ではないかとの批判は、どう思いますか?

A氏 まったく的外れだと思います。騙して利益を得ているわけではないですし、正当な依頼に基づいて仕事をしているだけです。依頼した側の親や子どもが学校を騙しているという意見はあるかもしれませんが、それについても別に利益を得ているわけでもないですし、学校に不利益を与えているわけでもありません。

–では今後、宿題代行業者はさらに増えていくと思いますか?

A氏 子どもに宿題をやらせる必要はないと考える親が増えているようですし、ニーズはまだまだあると思います。予備校の規模縮小が話題になっていますが、一方で小中学生を対象とした学習塾はまだまだ盛況で、受験熱は高まり続けています。受験勉強以外の宿題は外注したいという親は今後も増える可能性はあるでしょう。

–ありがとうございました。

●西川史子が宿題代行を使っていた

 ニーズがあるということは、アルバイトの求人も増えているのだろうか? 現在のところ、大手アルバイト情報誌は一様に宿題代行の求人広告は出しておらず、今後も掲載する予定はないという。

 ネットで検索すると、小中学生の宿題に限らず、大学生の卒業論文まで代行する業者もある。今春、新型万能細胞と期待されたSTAP細胞に関する論文が不正に作成された疑いがあるとして社会を大きく揺るがしたが、自ら論文を書き上げなければならないという意識は今後低下していく恐れもある。卒業論文の代行料金は10~30万円となっており、同サービスを利用して大学を卒業する学生は「学位を金で買った」といえ、倫理的に問題があるのではないだろうか。

 ところで、4月11日放送『中居正広の金曜日のスマたちへ』(TBS系)の中で、タレントで医師の西川史子が「西川家の家訓は『99.9%はお金とコネで解決できる』」であると紹介し、スタジオを騒然とさせた。その家訓を示す一例として、絵画の課題は美術家を雇って描かせるなど、受験に関係のない科目については宿題を外注していたと明かした。

 現在の宿題代行に関する是非を論じるには、すでに数十年前に体験してきている西川の現在を見ると参考になるのではないだろうか。
(文=平沼健/ジャーナリスト)

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