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『いだてん』を“大河らしくない”と批判するのは無意味だ…「正しい楽しみ方」を伝授

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 NHK大河ドラマ『いだてん』の第7話が17日に放送され、平均視聴率は前回から0.4ポイント減の9.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)だったことがわかった。悪いニュースのほうが世間に受けるので、「大河ドラマが2週連続1桁台」というのはネットメディアにとって格好のネタである。

 だが、「時代が飛んでわかりにくい」「落語ネタがよくわからない」「ビートたけしが何言ってるかわからない」といった“視聴率低迷の理由”を毎回判で押したように言い立てることに意味があるとはさほど思わない。もはや、「そういうもんだと思うしかない」からである。

「大河ドラマらしくない」という批判についても同様だ。『いだてん』は大河ドラマとしては異例ずくめであり、そもそも「大河ドラマらしくない作品」としてつくられているのだ。それを「こんなものは大河ドラマではない」と言ってみたところで、「そりゃそうだろ」としかならない。

 ちなみに第7話では、嘉納治五郎(役所広司)がかつて勝海舟に外套をもらったというエピソードが描かれた。この時流れた美濃部孝蔵(森山未來)によるナレーションは「言わずと知れた幕末の大スター、勝海舟! あっ、大河っぽいのでもう一回言います。勝、海舟!」というものだった。

 メタ全開のこのナレーションは、言うまでもなく「『いだてん』は大河らしくない」という批判を逆手に取ったもの。というより、批判を見越して脚本・宮藤官九郎があらかじめ盛り込んだ台詞だと思われる。これを「ふざけている」と受け取る人も一定数いるだろうし、そういう人には残念ながら『いだてん』は合わないと思う。だが、大河ドラマのそこそこ長い歴史における新たな挑戦を「こんなものは大河ではない」と切り捨ててしまうのはもったいない。

 前置きが長くなったが、第7話では金栗四三(中村勘九郎)がオリンピックへの渡航費を用意できるのかどうかという問題を軸に、オリンピックに関わる人々それぞれの人間模様が描かれた。金栗の家族は貧しく、とても自費では大金を用意できないが、なんとか彼をオリンピックに送り出そうと心から応援し、金策に走っている。一方、もうひとりのオリンピック選手・三島弥彦(生田斗真)は富豪の家に生まれたためお金には困っていないが、家族にはまったく理解してもらえない。そんなまったく立場の違う二人が出会い、互いに複雑な感情を抱くこともなく打ち解ける様子は、スポーツマンらしくてすがすがしい。

 東京高師の教授・永井道明(杉本哲太)や弥彦の母・三島和歌子(白石加代子)など、コワモテの人々の別の面を描き、実は人間味のある人物だということを明かす展開も良かった。総じて今のところ、『いだてん』には悪意のある人物は登場していない。この大河ドラマの大きなテーマのひとつは、「人々の善意の結実」なのだろう。第7話から第8話にかけて描かれる「金栗の渡航費問題」は、その代表的なエピソードになるはずだ。第8話でここを感動的に描くことができれば、もう少しこの作品の持つメッセージ性が広く伝わるのではないだろうか。

 さて、冒頭では『いだてん』を批判する際に挙がる「時代が飛んでわかりにくい」「落語ネタがよくわからない」「ビートたけしが何言ってるかわからない」という代表的な3つの要素を紹介した。だが、第7話はこれらが大幅に“改善”された。ビートたけし演じる古今亭志ん生はほんの一瞬しか登場せず、落語も小ネタをひとつ披露したのみ。しかも、寄席で客に話す体裁を借りて「ことわっておきますが、今日あたくし、あんまり出番がないんです。こないだがんばりすぎちゃったんで」との台詞まであった。

 これも美濃部孝蔵の「大河っぽいので」のナレーション同様、「たけしの出番が多すぎ」という批判が視聴者から上がることを見越した脚本なのだろう。「批判を受けて落語部分をカットしたのでは」との推測もみられるが、そうだとしたらたけしに「あんまり出番がないんです」との台詞があるはずがない。つまり、クドカンは「『いだてん』は大河らしくない」との批判も「落語の部分が邪魔」という批判も、当初から織り込み済みだったということだ。

 だからといって、それをうまく回避できているとは思わないし、「単に開き直りではないか」という批判もあるだろう。だが、冒頭の繰り返しになるが「そういうもんだ」と思って視聴すれば、『いだてん』は案外楽しい。「つまらないという記事をよく見るからつまらないんでしょ?」と思っている人は、試しに何回か見てみたら意外とハマるかもしれない。
(文=吉川織部/ドラマウォッチャー)

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