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あいちトリエン補助金撤回で、安倍政権の意向に沿う文化事業にしか補助金出ない国に

文=編集部
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「あいちトリエンナーレ2019」の「表現の不自由展・その後」で展示された少女像(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 愛知県で開催中の「あいちトリエンナーレ2019」で8月に起きた「表現の不自由展・その後」中止騒動。9月26日には文化庁が“補助金の不交付”を表明し、識者らから批判が続出している。

「表現の不自由展・その後」は、主に「日本で過去に何かしらの理由で展示ができなくなってしまった作品」を集めた展覧会。しかし、「あいちトリエンナーレ2019」開幕後、慰安婦を表現した少女像や昭和天皇にまつわる映像作品などの展示に抗議が殺到する騒動になった。

 河村たかし名古屋市長は、開幕直後に「どう考えても日本国民の心を踏みにじるものだ。税金を使ってやるべきものではない」と述べ、同展の中止を求めたほか、医師・高須克弥氏も少女像をめぐって「この穢らわしい展示物を片付けなかったら名古屋市民やめます」とツイートする騒ぎになった。

 河村市長の発言に対しては、「あいちトリエンナーレ2019」実行委員会会長でもある大村秀章愛知県知事が「憲法違反の疑いが濃厚だ。公権力が『この内容はよくてこれはダメだ』と言うのは、検閲ととられても仕方ない」と批判するなど、表現の自由をめぐって意見が対立していた。

「表現の不自由展・その後」が大炎上を招いたことで、事務局には脅迫めいた電話やメールが大量に寄せられる事態となり、なかには放火を示唆する内容もあったという。そのため、開幕からわずか3日で同展は中止となり、「あいちトリエンナーレ2019」の芸術監督を務めるジャーナリスト・津田大介氏への批判は今も多い。

 そんな状況のなか、文化庁は、事前に申請された展示の具体的内容が不十分だったとして、採択を決めていた補助金約7800万円全額を交付しないと発表した。総事業費約12億円のうち、愛知県が少なくとも6億円、名古屋市が2億円を負担しており、国も文化資源活用推進事業の補助金として約7800万円の交付を予定していたが、それが覆されたかたちだ。

 今回の騒動をめぐっては9月25日に愛知県の検証委員会が中間報告をまとめており、大村知事は「条件を整えた上で再開を目指したいと考えている」と表明していた。また、検証委は芸術監督の津田氏の責任にも言及しており、大村知事は津田氏に厳重注意処分を科していた。

 文化庁の補助金不交付について、美術家・会田誠氏はツイッターで「文化庁長官・宮田亮平様、今からでも遅くないので、その方針を取り消してください。国にとっても文化にとっても良いことが一つもなく、悪いことばかりあります。国家百年の計を見ましょう」と要求。また、映画評論家の町山智浩氏も「政府に都合のいい文化事業にしか補助金が出ない。今後、戦争の歴史的展示にも同じことが起こるぞ」とツイートしている。

 同じくツイッターで「こんな前例を許してしまったら、今後政府の意向に沿う文化事業にしか補助金は出せないということになるではないか。表現の自由を壊す、安倍政権による検閲国家化を許すな」と警鐘を鳴らすのは、藤沢市議会議員・みむら耕太郎氏だ。前文部科学事務次官の前川喜平氏も「『文化庁が』てはなく『萩生田文科大臣が』と報じるべきだろう。萩生田極右政策第1弾だ」(原文ママ)とツイートするなど、大きな波紋を呼んでいる。

 その萩生田光一文部科学大臣は、26日に「残念ながら申請のあった内容通りの展示会が実現できておらず、補助金適正化法などを根拠に交付を見送った」と記者団に説明した。

BusinessJournal編集部

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