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「相馬勝の国際情勢インテリジェンス」

中国・習近平主席の夫人が“消えた”…謎が謎を呼ぶ

文=相馬勝/ジャーナリスト
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中国・習近平国家主席の夫人、彭麗媛氏(写真:新華社/アフロ)

 中国習近平国家主席の彭麗媛夫人が6月下旬に習氏とともに北朝鮮を訪問したあと、約4カ月間も公式の場に姿を現していない。習氏は12日にはインドを非公式訪問したあと、12日から14日までネパールを国賓として訪れており、ネパール側は盛大な晩さん会で習氏を「熱烈歓迎」した。これまでは習氏の国賓としての訪問ではファーストレディである彭夫人を伴っての外遊が通例となっており、4カ月もの不在で「急病説」などの憶測も飛び交っている。

 彭夫人は6月20、21日、国賓として招待された習氏とともに北朝鮮を訪問し、金正恩朝鮮労働党委員長と李雪主夫人の歓迎を受け、平壌での晩餐会に出席。さらに、マスゲームや芸術公演を鑑賞するなど、中国のファーストレディとして役割をしっかりと果たしている。

 しかし、習氏と彭夫人はともに21日に帰国した後、これまでに彭夫人の公式報道は途絶えたままだ。夫人は6月28日に大阪で開催された主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に習氏と参加するとみられていたが、習氏の隣にその姿はなかった。

 その後の3カ月間、夫人の消息は伝えられていなかったが、汪洋・中国人民政治協商会議(政協)主席(中国共産党政治局常務委員)が9月27日、北京の釣魚台迎賓館で、カンボジアのノロドム・シハモニ国王と皇后に会見した際、汪氏は「習近平主席夫妻の親切な挨拶と祝賀の意を伝えた」と中国メディアが報じており、彭夫人の“健在”がようやく確認された。

 ところで、国王と皇后は昨年9月にも北京に滞在しており、その際、習氏と彭夫人の表敬訪問を受け、4人が並んだ記念写真も報道されている。だが、今年は習夫妻でなく、汪氏が国王らを表敬したのは不自然との印象が強い。

 彭夫人は北朝鮮訪問以前の6月1日に北京で中華女子学院留学生を激励。4月9日にも北京の迎賓館で、キューバのミゲル・ディアス・カネル国家評議会議長のクエスタ夫人と会談、3月にも習氏とフランスを訪問するなど活発なファーストレディ外交を展開している。

 このフランス訪問や前述の北朝鮮訪問の例からいえば、今月12日から14日の習氏のネパール公式訪問にも彭夫人が同行するのが自然だが、彭夫人の姿はなかった。

 しかも、歓迎晩さん会ではネパール大統領や首相ら要人のほとんどは夫妻で出席しており、彭夫人が出席しないのは極めて不自然だ。このため、彭夫人が4カ月間も公式の場に姿を見せないのは特別な理由があると考えるのが自然だ。事故にあったとか、発病し入院が長引いているなどの理由も考えられる。中国当局からの発表が一切ないため、謎は深まるばかりだ。

(文=相馬勝/ジャーナリスト)

 

相馬勝/ジャーナリスト

相馬勝/ジャーナリスト

1956年、青森県生まれ。東京外国語大学中国学科卒業。産経新聞外信部記者、次長、香港支局長、米ジョージワシントン大学東アジア研究所でフルブライト研究員、米ハーバード大学でニーマン特別ジャーナリズム研究員を経て、2010年6月末で産経新聞社を退社し現在ジャーナリスト。著書は「中国共産党に消された人々」(小学館刊=小学館ノンフィクション大賞優秀賞受賞作品)、「中国軍300万人次の戦争」(講談社)、「ハーバード大学で日本はこう教えられている」(新潮社刊)、「習近平の『反日計画』―中国『機密文書』に記された危険な野望」(小学館刊)など多数。

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