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台風15号、なぜ千葉県睦沢町は大規模停電を免れたのか?「電力の地産地消」が重要

文=明石昇二郎/ルポライター
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大規模停電を免れた「道の駅」があった

 2019年9月9日未明、台風15号は中心気圧960ヘクトパスカル、中心付近の最大風速40メートル、最大瞬間風速60メートルという猛烈な勢力のまま、千葉県千葉市付近に上陸した。千葉市中央区では最大瞬間風速57.5メートル、同県木更津市では同49メートル、同県成田市で45.8メートルを記録し、そのいずれもが観測史上1位の記録となったのだという。大雨による被害よりも暴風による被害が際立つ典型的な「風(かぜ)台風」である。

 同県内では大規模な停電も発生。同日午前8時20分時点でおよそ64万軒にも及び、全面復旧までに2週間以上を要する非常事態に陥る。北海道全域で295万戸が停電した昨年9月の「全道ブラックアウト」でさえ、復旧に要した時間は2日間(45時間)である。まさか21世紀の首都圏で、これほど長期間に及ぶ大規模停電が発生するとは、思いも寄らぬことだった。

 そんななか、完全停電を免れた地域があると聞いて驚いた。同県の内陸部に位置する睦沢町(むつざわまち)である。理由があるなら知りたいし、秘訣があるなら教えてほしいと思い、現地を訪ねた。

台風15号、なぜ千葉県睦沢町は大規模停電を免れたのか?「電力の地産地消」が重要の画像1
おしゃれな「町営住宅」

 台風15号襲来の際は、睦沢町も9月9日未明の午前4時前後から停電に見舞われた。停電のピーク時には町内の8割で停電していたとのデータもあるが、地元の実感は「全町真っ暗」。ほぼ全域で停電が発生した。

 前代未聞の非常事態を受け、町の中央部にある「道の駅むつざわ つどいの郷」(むつざわスマートウェルネスタウン)では、停電からおよそ5時間後の同日午前9時、ガスコジェネ発電機(後述)を起動させ、「道の駅」施設や隣接する町営住宅への電気供給を開始する。道の駅周辺では電線はすべて地中に埋設されており、電柱や鉄塔の倒壊による影響は一切なかった。

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ガスコジェネ発電機

 そして、睦沢町の停電が解消する9月11日午前9時頃までの約50時間、「道の駅発電所」は稼働し続けた。道の駅には温浴施設が併設されており、自宅の風呂に入れない町民のためにシャワーを無料で開放。停電で防災無線がダウンするなか、噂を聞き付けた人々が行列をつくり、800人ほどが汗を流した。「お湯が使える」だけのことで、利用者からは大変喜ばれたという。また、携帯電話の充電ができない町民にも無料充電を可能とした。

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