ニトリの店舗

 ヤマダ電機は大塚家具に43億7400万円を出資し、51.74%の株式を握り、昨年末に同社を子会社にした。大塚家具は創業者の大塚勝久氏と長女の久美子氏の対立でブランドが毀損。2016年からは赤字が続き、19年第3四半期(1~9月)決算は惨憺たる結果となった。売上高は前年同期比23.2%減の210億300万円。営業損益は29億1800万円の赤字(前年同期は48億6300万円の赤字)、純損益は30億6200円の赤字(同30億5300万円の赤字)に沈んだ。売上高は5年連続の減収、営業赤字も6年連続となり、浮上の兆しはまったく見えない。確かに、一部店舗の閉店などで販管費が減り、営業赤字幅は縮小した。だが、同時に売上も減り、完全に負のスパイラルに陥っている。

 それではなぜ、ヤマダは大塚家具を買収したのか。ヤマダの狙いは、住宅事業の補完だ。11年、注文住宅のエス・バイ・エル(現ヤマダホームズ)を買収し、住宅事業に進出した。12年、住宅機器のハウステックを買収。リフォームを非家電事業の柱に据えた。

 ところが、家電量販店のビジネスモデルのまま、リフォームも安売り路線で突っ走った。大量受注したものの、施工業者の人手不足で施工が追いつかず、利幅は急激に縮小。住宅事業の要(かなめ)となるヤマダ・エスバイエルホームが営業損益、経常損益、当期純損益で黒字だったのは16年2月期のみ。それ以外は13年2月期から赤字が続く。

 ヤマダがエス・バイ・エルを買収して、15年、ヤマダ・エスバイエルホームに社名を変更。さらに18年10月、ヤマダホームズに変更して、「エス・バイ・エル」の名前を消した。ヤマダは17年6月、創業の地の群馬県前橋市で「インテリアリフォームYAMADA前橋店」をオープンしたのを皮切りに、住宅やリフォームを中心に家具や雑貨、家電製品を融合した新業態店「家電住まいる館」を展開している。

 オーナーの山田昇会長は、トップに三嶋恒夫氏をスカウトした。三嶋氏は、北陸の家電量販店「100満ボルト」を運営するサンキュー(福井市、現エディオングループ)出身。サンキューのリフォーム事業の立ち上げ、エディオン傘下に入った後もリフォーム事業の拡大を担った。住宅リフォーム事業の実績を買われ、17年にヤマダに副社長として移籍。1年後の18年6月、ヤマダの社長に抜擢された。

 家電量販店が住宅事業に参入するというのは昔からよくある話。家をリフォームしたら、家電も買ってくれる、という発想だが、「家具も家電も耐久消費財。相反関係にある」ともいわれ、シナジー効果は薄いとされている。

 ヤマダは大塚家具を子会社にして、家具に本格的に進出する。20年2月、ヤマダの東京都内などの4店舗を改装してオープンした。ソファなどの家具とテレビや白物家電を組み合わせて展示を始めた。

 だが、家具・インテリア雑貨はニトリホールディングスの牙城だ。当然、ニトリも対ヤマダ戦略を練る。ヤマダが先行するリフォーム事業に進出した。17年5月、中古住宅販売のカチタス(東証一部に再上場)に33.9%出資して、筆頭株主になった。カチタスは買い取った戸建ての中古住宅をリフォームし、再び販売する中古住宅の再生事業を手掛けている。

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