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松岡久蔵「空気を読んでる場合じゃない」

日本経済の中心だった日本製鉄の没落…高炉閉鎖&巨額赤字計上、鉄鋼の時代の終焉

文=松岡久蔵/ジャーナリスト
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日本製鉄君津製鉄所(「Wikipedia」より/Chime)

「天下の日本製鉄が高炉を閉鎖し、巨額赤字を計上するなんて、いよいよ鉄鋼の時代が本格的に終わろうとしているようにしか思えない」

 日本製鉄と関わりの深い二次加工業者はこう肩を落とした。

 日本製鉄は2019年度第3四半期連結決算で、最終損益が3573億円の赤字となり、通期業績予想では従来の400億円の黒字から4400億円の巨額赤字に修正した。戦後再編を繰り返してきた同社だが、それでも今回の赤字は異例中の異例だ。

 なかでも損失を拡大させたのは、製鉄所固定資産の減損損失。輸出比率の高い鹿島製鉄所は海外市況の下落で収益が悪化し、名古屋は自動車向け薄板の比率が高くトヨタ自動車との紐付き価格改善途上で収益が低迷しており、広畑は鉄源コストにも課題があり、それぞれ減損処理の対象とした結果、合計約4000億円の損失を計上した。製鉄事業単体でも1300億円の赤字となる見込みで、今年度を含めると3期連続の赤字となる見通しだ。

 鉄鋼業界は、少子高齢化による建設需要の減少など国内鉄鋼需要の縮小や、中国経済の減速などによる海外需要の縮小を背景に、「資源高の鋼材安」の苦境に悩まされている。

 同社は対応策として、子会社の日鉄日新製鋼の呉製鉄所を2023年9月末までに閉鎖、和歌山製鉄所の高炉1基を休止するほか、全国各地で鉄鋼製品へ加工する設備を休止する。現在の加工能力年産5000万トンの1割にあたる500万トンを削減する計画だが、国内鉄鋼需要は6000万トンレベルで推移しているため、供給能力過多は避けられず、今後もリストラや製鉄所の再編や休止は十分にあり得る。

「世界は日本製鉄を中心に回っている」と本気で言っていた

 かつての高度経済成長で重厚長大産業が華やかしきころ、「世界は日本製鉄を中心に回っている」と「日本製鉄版天動説」を幹部が本気で唱えていたほど、日本製鉄は日本経済の中で飛び抜けた存在であった。経団連会長も何人も輩出するなど、「近代日本をつくった産業」として経団連内部でも別格の扱いを受けていたことは間違いない。

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