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松岡久蔵「空気を読んでる場合じゃない」

「女性CAが医療用ガウンの縫製支援」と表明…ANA経営陣の“時代錯誤な思考回路”

文=松岡久蔵/ジャーナリスト
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CAが歴代制服披露 ANA国際線30年の航跡(写真:Yoshio Tsunoda/アフロ)

「CAは女性」という日本独自の慣習

「縫製するためにCAになったんじゃない」「女性差別だ」「戦時中かよ」―。ANAグループが今月、新型コロナの感染拡大による航空便の運休などの影響で業務量が減っている社員を中心に、医療用ガウンメーカーの縫製業務を支援すると発表した際に、こうした批判が集中した。対象となる社員の大部分が女性の客室乗務員(CA)であったためで、同グループは「業種を問わない」と火消しに走ったが、これほど女性の社会進出が叫ばれる時代に「時代遅れの良妻賢母を求めるオッサン企業」というイメージがついてしまったのは大きな痛手だ。

結局、航空業界は男社会

 同グループのホームページによると、2019年の客室乗務員は約8200人で、全従業員の半数を占める。女性従業員は全部で約1万人のため、同グループでは「女性社員はほぼCA」と言ってもいい。実際、昨年4月に初めて客室乗務員として4人の男性が入社したことを考えると、ほぼ女性のみの職場だ。海外航空会社は男性CAも普通であることを考えれば、この「CA=女性」ということ自体、日本に独特の習慣だといえるだろう。年間100万円ほども学費がかかる予備校に入ってまでもなりたい、「女性の憧れの職業」になっているのも非常に特殊だ。

「男尊女卑の激しい韓国ですら、大韓やアシアナでも男のFAが多いのを考慮すると、本邦は異様」(大手旅行業)だ。

 この「CAお針子問題」が拡大したのは、西村康稔経済再生担当相が8日放送のテレビ番組で、休業中の航空会社のCAらに縫製を支援してもらう方向で調整しており、「エアラインのCAも手伝うということで申し出があった」と話したことがきっかけだ。

 西村氏の発言に先立ち、安倍首相も7日の会見で「欠航が相次ぐエアラインの皆さんは、医療現場に必要なガウンの縫製を手伝いたいと申し出てくださいました」と発言している。 しかし、同グループ幹部が本当にCAの声を汲んだ上で「申し出」たのか大いに疑問が残る。同グループの19年の管理職に占める女性の割合は14.6%で、役員では11.9パーセント。今回の問題では、経営の実態を握るオッサンの発想が暴走した可能性が非常に高い。

縫製は素人にはできない

 安倍政権とANAグループを経営するオッサンの中では、「ANAで休む社員の大部分=CA=女性」であり、「女性が訓練しなくても臨時でできる仕事=針子」という連立方程式が成立していたことになる。縫製ができるのが女性のたしなみと言われたのは、それこそ20年ほど前のことであって、これまた時代錯誤も甚だしい。

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