「ワタミHP」より
「ワタミHP」より

 居酒屋大手のワタミは5月27日、「ミライザカ」や「和民」といった総合居酒屋を中心に全店舗の1割強にあたる65店を閉店すると発表した。閉店に伴い、減損損失19億円を計上した。新型コロナウイルスの感染拡大で客足が減っており、既存店売上高は3月が前年同月比40.4%減、4月が92.5%減と大きく落ち込んでいる。今後も厳しい状況が続くとみられ、不採算店の閉店を進めて立て直しを図る。

 同日発表した2020年3月期連結決算は、売上高が前期比3.9%減の909億円、営業利益が91.3%減の9200万円、最終損益が29億円の赤字(前期は13億円の黒字)だった。減収は6期連続、最終赤字は3年ぶりとなる。

 新型コロナの影響で外食は厳しい状況に置かれているが、居酒屋は特に厳しい。夜間に外食する人が減ったほか、在宅勤務の広がりなどで宴会需要が縮小しており、他業態以上に厳しい状況が続くことが見込まれている。

 こうした状況を受け、居酒屋「甘太郎」などを傘下に持つ外食大手のコロワイドは、居酒屋業態を中心に不採算店196店の閉店を決めた。総合居酒屋から専門居酒屋への転換を加速させるほか、非居酒屋業態を強化し事態打開を図る考えだ。

専門居酒屋と非居酒屋業態の強化

 ワタミも不採算店の閉店を進め、業績回復を狙う。伴となるのがコロワイドと同様に専門居酒屋と非居酒屋業態だろう。

 ワタミには専門居酒屋として焼き鳥居酒屋「三代目鳥メロ」がある。これまで和民から転換するなどして店舗数を増やしてきた。同社は4月末時点で国内に491店の外食店を展開するが、三代目鳥メロは150店で、204店のミライザカに次ぐ規模を誇る。一方、和民業態は32店まで減っている。

 専門居酒屋は、まだまだ競争力がある。焼き鳥居酒屋を展開する鳥貴族は17年10月に実施した値上げの影響で客離れが起き苦戦を強いられていたものの、新型コロナ直前は客足が戻りつつあったし、店舗数は600店超にもなり存在感を示している。コロワイドは専門店居酒屋を強化するにあたり、焼き鳥居酒屋「やきとりセンター」を積極展開する方針を示している。厳しいとはいえ、専門居酒屋には一定の需要がある。

 非居酒屋業態の強化も、事態打開策になり得る。ワタミは非居酒屋業態として、レストラン「TGIフライデーズ」や、から揚げ専門店「から揚げの天才」などを展開しており、これらを強化することで居酒屋の落ち込みを埋めたい考えだ。同社はこれまで直営主義をとってきたが、今後はフランチャイズ(FC)展開を加速させることで成長を実現する戦略を描いている。

 特に注目されるのが、18年から展開を始めたから揚げの天才だ。から揚げと卵焼きをメインに販売し、現在は7店を構える。卵焼きは、実家が卵焼き店でタレントのテリー伊藤氏と組んで開発した。

 から揚げ業態は今、勢いがある。NISは「鶏笑」を現在約160店展開しているが、着実に店舗数を増やしている。アークランドサービスホールディングス(HD)は「からやま」と「からあげ緑」を3月末時点で計117店展開するが、1年前から31店増えている。ファミリーレストラン「ガスト」で知られるすかいらーくHDは「から好し」を3月末時点で83店展開するが、1年前から34店増となっている。いずれも出店攻勢で店舗数を増やしているのだ。

 ワタミもから揚げの天才で需要の取り込みを狙う。今年2月からはFC店の展開を開始。3月には、コシダカホールディングスとFC契約を結んだ。同社は運営するカラオケ店「まねきねこ」に併設するかたちで今春にも1号店を出す考えだ。から揚げの天才はテイクアウト比率が8割と高いため、新型コロナの影響で外食を自粛する動きが広がるなかでも自宅などで食事をする人の増加で売り上げ増が見込める。

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