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コロワイド会長、買収先への恫喝暴言に大戸屋社員が戦々恐々…「アホ共よ」「生殺与奪」

文=松崎隆司/経済ジャーナリスト
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大戸屋の店舗(「Wikipedia」より/Asanagi)

 大戸屋ホールディングス(HD)の従業員やフランチャイズ加盟店のオーナーたちの有志が6月5日、大戸屋HDの経営陣に対して「株式会社コロワイドによる株主提案に対する反対意見」を提出したことが明らかになった。コロワイドは昨年、大戸屋HDの株式19%を創業者遺族から取得。経営権を取得するために6月の定時株主総会に向け取締役を刷新する株主提案を提出し、大戸屋HDへの実質的な敵対的買収を進めている。

 コロワイドは(1)仕入条件の統一化、(2)セントラルキッチンの活用、(3)物流網の共通化などにより6億円以上の利益貢献が期待できるとしている。これに対して大戸屋HDの社員276名が反対意見を表明し、フランチャイズオーナーの8割も「コロワイドの株主提案が承認可決された場合には、店内調理により『美味しい』『健康』『安全/安心』な料理を提供するという、お客様に支持されてきた当社の企業価値・ブランド価値が毀損されることを懸念し、当社のフランチャイズ加盟店として、本株主提案に反対である」(大戸屋HDニュースリリースより)との意向を示しているという。

 大戸屋HDは、従業員やフランチャイズ加盟店オーナーたちの反対意見について次にようにコメントしている。

「大戸屋の従業員もフランチャイズ加盟店の方々も、言うまでもなく、『大戸屋』の事業運営に欠かせない大切なパートナーです。コロワイドの株主提案が承認可決された場合には、コスト削減に偏った施策が推し進められ、素材・調理へのこだわりが弱まった画一的な料理を提供することになる可能性が高く、店作りやお客様へのサービスへのこだわりも、コスト削減のために蔑ろにされてしまうおそれがあります。

 さらに、これまでフランチャイズ加盟店にご賛同をいただいてきました当社の企業価値・ブランド価値が失われてしまえば、フランチャイズ加盟店の離脱が起こり、当社の企業価値が大きく損なわれます。フランチャイズ加盟店の多くは、当社の最大の差別化要因である美味しさを前提とする経営方針に賛同いただいております。その前提の上に効率化を両立させ、当社独自の『世界一美味しいごはん屋さん』を目指すために経営改革を進めている現経営陣のもと、チーム一丸となって、困難に立ち向かい一層の発展を成し遂げていくことを共感していただいております」(大戸屋HD広報)

コロワイドの社内報

 大戸屋HDは従業員の意見を聞くため、2020 年 5 月 25 日より同月 31日までの間、コロワイドの本株主提案に関する匿名のアンケート(以下「本アンケート」)を実施した。

「その結果、回答者の9割を超える(回答者288名のうち268 名(93.1%))当社グループ従業員から、コロワイドの株主提案ではなく、当社の会社提案に賛成するとの回答を得ました」(同社ニュースリリースより)

 それだけではない。コロワイドの創業者、蔵人金男氏による買収先企業の従業員に対する言動に対しても大きな不信感が高まっているようだ。以下はコロワイドの社内報「COLOWIDE TIMES」の商魂号外編の「挨拶」の項目で書かれている内容だ。読んだ瞬間、本当にこんなことが社内報に書かれているのか、と思えるような内容だ。

「コロワイドが、レインズを買収して5年。

未だに挨拶すら出来ない馬鹿が多すぎる。

お父さん、お母さんに躾すらされた事がないのだろう。

家庭が劣悪な条件で育ったのだろう。

閑散とした家庭環境の中で育ったのか。

蚊の無く様な声で●△×…挨拶。

個人的に張り倒した輩が何人もいる。

人の声の大きさは、生きる証。生命力の証。

5年経って、ようやく挨拶する女性がいる。

今更…。ここは、大学の同好会でもサークルでも更生施設でもない。今更、この手合いには、挨拶は返しません。

 

私が嫌いで、嫌悪感すら感じるのだろう。

そのアホが、何故会社にいる?

辞めて転職したらいいのに。この会社を買収時、

面接をしなかった事が、一番の原因だろう。

今更、その程度に私に逆らっても始まらない。

所詮、コロワイドが買収した会社。

 

生殺与奪の権は、私が握っている。

さあ、今後どうする。

どう生きて行くアホ共よ」

 この内容についてはすでに多くのメディアなどから批判されているが、コロワイドは次のように謝罪している。

「当該文はビジネス・商売の基本となる考え方を述べたものであり、本来はそちらがメインとなるものでありますが、当該文の表現につきましては、弊社グループの社員はもとより、株主様等も株主総会などで耳にされております弊社会長の独特の言い回しで書かれておりますことから、今回はその本来の意図が伝わらず、お騒がせする事態となりましたことを、 深くお詫び申し上げます」(コロワイドのニュースリリースより)

 この文面を「独特の言い回し」で書かれていて「本来の意図が伝わら」ないというのは、あまりにも無責任な話ではないだろうか。

大戸屋HD従業員「退社も辞さない覚悟」

 大戸屋HDの従業員からは「買収先企業に対するコロワイド経営者の言動に対して強い不安と恐怖を感じており、コロワイドによる連結子会社化に対しても強く反対いたします」(大戸屋グループ従業員有志一同)との声があがっている。

 いずれにせよ、こんな暴言を吐くような経営者の下では働きたくないと考える大戸屋HD社員は少なくないだろうし、フランチャイズオーナーにしても同じことだろう。会社側のアンケートにもこんな声があがっている。

コロワイド社は以前買収した会社の社員に対し、お前らは負け組だと言わんばかりの言動を行っております。経営者として、そういった態度はあるまじきことであると私は思い、もし今後コロワイド社の買収が成功しようものなら、退社も辞さない覚悟であります」(大戸屋HD従業員) 

 大戸屋HDの経営陣、従業員と筆頭株主コロワイドとの仁義なき戦いは6月25日の株主総会で天王山を迎える。

(文=松崎隆司/経済ジャーナリスト)

松崎隆司/経済ジャーナリスト

松崎隆司/経済ジャーナリスト

1962年生まれ。中央大学法学部を卒業。経済出版社を退社後、パブリックリレーションのコンサルティング会社を経て、2000年1月、経済ジャーナリストとして独立。企業経営やM&A、雇用問題、事業継承、ビジネスモデルの研究、経済事件などを取材。エコノミスト、プレジデントなどの経済誌や総合雑誌、サンケイビジネスアイ、日刊ゲンダイなどで執筆している。主な著書には「ロッテを創った男 重光武雄論」(ダイヤモンド社)、「堤清二と昭和の大物」(光文社)、「東芝崩壊19万人の巨艦企業を沈めた真犯人」(宝島社)など多数。日本ペンクラブ会員。

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