富士ゼロックスが「ゼロックス」を使えなくなった…古森会長の失態の大きすぎる代償の画像1
富士フイルム、富士ゼロックス本社(「Wikipedia」より/Rs1421)

 新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、安倍晋三首相は富士フイルム富山化学の抗インフルエンザ薬「アビガン」を新型コロナ治療薬として強く推し、税金投入に踏み切った。安倍首相は4月7日、緊急事態宣言後に表明した緊急経済対策に「アビガン200万人分備蓄に向けた増産支援」を盛り込んだ。2020年度第一次補正予算に139億円を計上した。政府は緊急事態宣言の期限とされた5月末までの承認にこだわった。臨床試験(治験)の結果が出る前の承認を前提とし、別の臨床研究などのデータを使って承認することを認める異例の措置を取った。

 アビガンは安倍政権のコロナ対策の切り札だったが、政府は5月中にアビガンを新型コロナウイルス感染症の治療薬として承認する計画を断念した。6月も新薬の承認が見送られ、アビガンの治験は7月も継続される。感染者が急減し、治験の参加者が目標に届かないのが理由だそうだ。治験の進捗次第では、承認手続きがさらに遅れる可能性がある。

 厚生労働省は治験の成績がなくても、富士フイルムホールディングス(HD)が有効性を示せれば、アビガンを新型コロナ治療薬として承認する考えを示しているが、その有効性を確認できるデータが少ないのだ。160兆円のコロナ対策のバラマキが政治問題化しつつある。

「アビガンの設備整備に約47億円割り当てられた。世界各国にアビガンを無償提供する予算が約1億円。つまりアビガン関連に(139億円を含め)約187億円が拠出されている」(「週刊文春」<文藝春秋/2020年6月11日号>より)

 アビガンは富士フイルムHD傘下の富士フイルム富山化学が開発した。細胞内のウイルス増殖を妨げる働きをもつ。中国で新型コロナに治療効果があると報告されたのを機に期待が高まった。その後、中国でのリポートは撤回された。

 富士フイルムは治験への有効性と安全性を示すために、96人の参加を目標に3月末に治験を始めた。しかし、治験に参加する大病院のベッドは4月は重症患者で埋まり、治験の対象となる軽症・中等症の患者が少なかったことで、参加者を集められなかった。投薬後に28日間の観察期間が必要なため、目標人員を集められたとしても治験が完了するのは7月以降になる。安全性や有効性の評価について、日本医師会なども懸念を表明した。承認はさらに遅れるとの見方が出ている。

富士ゼロックスが営業利益の56%を稼ぐ

 富士フイルムHDの2020年3月期の連結決算(米国会計基準)の売上高は前期比4.8%減の2兆3151億円、営業利益は11.1%減の1865億円、純利益は9.5%減の1249億円だった。コロナは260億円の営業減益の要因となった。オンラインの決算説明会で助野健児社長は「新型コロナの影響がなければ過去最高の営業利益を更新していた」と述べた。

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