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現役マネージャーが語る、芸能ニュース“裏のウラ”第25回

渡部テイクアウト不倫、ほかにも激ヤバ写真が?スポニチによる“文春スクープ潰し”舞台裏

芸能吉之助(現役芸能プロマネージャー)

geinou

 どうも、“X”という小さな芸能プロダクションでタレントのマネージャーをしている芸能吉之助と申します。

前回の記事】で“文春砲”についてのお話をしましたが、そのスクープ記事が世に出るまでの裏側では、いったいどんなことが起きているのでしょうか?  編集部と芸能プロダクションの間、そして芸能プロダクション同士のかけひきやせめぎ合いが行われているのは、みなさんもなんとなく想像がつくことかと思います。

 芸能マネージャー目線で見た芸能ニュースのウラ側を好き勝手に解説する本連載、今回は、実際に起こったスクープの裏でどんなやり取りが行われていたのかをお話ししていきたいと思います。あまり詳細にお話ししすぎると、僕の正体がバレてしまい仕事に支障が出てしまいますので、一部ボカしている部分もありますが、どうかご容赦ください……!

文春が怒ったスポニチ“スクープ潰し”のなぞ

 まず、この間「週刊文春」(文藝春秋)でスクープされたアンジャッシュ渡部建さんの不倫スキャンダル。このスクープは6月11日木曜発売の「週刊文春」で「佐々木希、逆上 渡部建『テイクアウト不倫』」というタイトルで報道されたものですが、通常、文春のスクープといえば、本誌が発売される木曜日の前日、早刷りが届くタイミングの水曜に ウェブの「文春オンライン」で速報されることが多いんですね。それで、“明日発売の「週刊文春」ではこのニュースを4ページに渡って詳報”など、雑誌本体の購買を促す形になっているケースがよく見られます。

 ところが今回の場合は、6月9日火曜の夕方には「アンジャッシュ・渡部建 TV各局に番組出演の全面自粛申し入れ」とスポニチアネックスで報じられ、「渡部さんが何かヤラかしたらしい」「全面自粛だなんて、かなりヤバいことをしでかしたのでは?」と騒動になりました。

 これは、文春がスクープ報道する予定だった渡部さんのスキャンダル記事を受けての渡部さんサイドの対応である「出演自粛申し入れ」の部分だけを、スポニチがひと足早く記事にしてしまったという、ある意味“スクープ潰し”なんですよね。このことについて、文春サイドはかなり怒っていたという報道もあります。

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現在47歳の渡部建

人力舎の社長が語った「渡部を自粛にする」と“腹を決めた”瞬間

 文春がターゲットのタレントに“直撃取材”をかけるのって、通常だとだいたいスケジュール的に週末から月曜あたりのことが多いんですよ。今回の渡部さんの場合も、6月6日土曜の『王様のブランチ』(TBS系)放送終了後に文春の記者からの直撃を受けたそうです。渡部さんはすぐに所属プロダクションの人力舎に相談、帰宅後に妻である佐々木希さんにも事情を打ち明けたようです。その日の深夜に、不倫相手の女性に渡部さんから電話がかかってきて、電話口に代わった佐々木さんから「彼と最後に会ったのはいつ?」と詰問されたというのは「週刊文春」で報じられていた通り。

 人力舎の玉川大社長は、直撃を受けたという報告を受けた時点では、そこまで大ごととは思っていなかったみたいですね。「渡部が直撃取材を受けたとマネージャーから聞いて、(不倫スキャンダルを起こした)ほかの方々がやってきていることと同じようにするしかないと思っていました。芸人だからいじられて、なんなら(相方の)児嶋一哉が『俺じゃねえよ!』と言うとか、いろんな形を想像していた。その後、事務所に紙(質問状)が届き、『多目的トイレ!? えっ、これ気持ち悪ぃじゃん。種類が違うじゃん』って考えを改めたんです。それで自粛という形に腹が固まった」(「週刊文春」2020年7月2日号)と語っています。

主婦層向けの番組に出演していながらの不倫は、完全にアウト

 もともと本来であれば不倫なんて当事者だけの問題であって、謝罪するのは家族や失礼な扱いをした女性たち、そして迷惑をかけた仕事仲間に対してだけでいいはず。でもやっぱりイメージが何より一番大事な芸能界では、今回の渡部さんの不倫って、謝罪して済むような話じゃないんですよね。今回は特に、「不倫相手が複数」「多目的トイレで密会」「行為後に1万円」など、嫌悪感を呼び起こすワードがずらり。さらに渡部さんが今やっている仕事って、『王様のブランチ』『ヒルナンデス!』(日本テレビ系)など、女性、特に主婦層に人気がある仕事が多いですからね……。この業界では、主婦層をターゲットにした番組をやっている人が当事者として不倫に関わるなんて、絶対にNG。長年芸能マネージャーをしている僕の感覚からしても、何をどうしようと、もう絶対ダメ!

 ということもあって、渡部さんの所属プロダクションのスタッフも、今後どう対応するかを、とにかくすぐに決めないといけなかったはず。で、9日火曜には、レギュラー番組を持つ各局に出演自粛の申し入れをしたそうです。ところがその時点で、テレビ局のスタッフから「渡部出演自粛」の情報がもれてしまった。今回のような、スキャンダルそのものが発覚する前に、先に自粛が発表されてしまう……という、イレギュラーな順序での騒動になってしまったのはそういうわけなんです。

ほかに“激ヤバ”写真があったればこそ、渡部は渋々文春のインタビューに応じた?

 渡部さんは、その後、あろうことか6月25日発売の「週刊文春」にて独占インタビューに応じ、今回の騒動について、妻や相方・児嶋一哉さんへの思いなどを語っています。なぜあえて、自分のスキャンダルを暴露された雑誌でインタビューを……って思うんですけど、これね、絶対、もっともっとヤバい写真や情報を文春に握られてるんだと思いますよ! 文春は、最初の記事でも、不倫現場となった六本木ヒルズの多目的トイレにも実際に行っているし、管理会社にまで取材を行っている。そこまでして、ほかに写真がないわけがない。なんたって、天下の「週刊文春」さんですからね……。なんらかの取引があっての、あのインタビューだったんだと思いますよ。

 すでにイメージが地に落ちてしまい、渡部さんの芸能界復帰は絶望的というのが大方の見解でしょう。ただ、まさかのウルトラCが起こり得るのが、この芸能界の面白いところなんですよね〜。

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2016年にワニブックスより発売された、山田孝之初の著作にして随筆集『実録山田』

山田孝之、新田真剣佑、Niki“沖縄バカンス”報道の裏にある芸能プロの“思惑”

 さて、文春によるスクープというところで、もうひとつ、あるスキャンダルの舞台裏をいえる範囲でお話ししましょうか。

 こちらも少し前になりますが、山田孝之くんと新田真剣佑くんが、緊急事態宣言中に沖縄バカンスを楽しんでいたという報道がありましたよね。このニュースは5月20日の「文春オンライン」でスクープされたもの。山田くんは、懇意にしているファッションブランドの社長X氏とともに、彼が借り切っているヴィラで過ごしていたようで、そこに恋人らしき女性を連れた真剣佑くんと、モデルのNiki(丹羽仁希)ちゃんらも合流していたようです。

 沖縄県の玉城デニー知事が「残念ながら沖縄は非常事態宣言の体制で充分なおもてなしは到底できません。離島も含め医療体制も非常事態です。どうか今の沖縄への旅はキャンセルして受け入れ可能な時期までお待ちください」と、来県自粛を呼びかけていた時期のバカンス報道とあって、この記事はかなり炎上しました。

 この記事を受けて、それぞれの所属事務所は事実関係を認め謝罪しました。タレント個人として、この記事が出たあと一番最初に謝罪文を出したのはNikiちゃん。「文春オンライン」が配信された当日の午後には、自身のTwitterで「一部報道について」ということで謝罪していました。その後、次の日21日になってから、真剣佑くんがTwitterで直筆署名の入った謝罪文を投稿(その後、6月17日に謝罪コメントは削除されてしまいましたが……)。そして、山田くんは現在に至るまでダンマリを決め込んだままです。

 この謝罪コメントの出し方で、三者三様、それぞれの所属プロダクションの思惑が見えるんですよ……!

新田真剣佑は、杏、佐々木希も所属する、今をときめくトップコートに在籍

 まず、真剣佑くんの所属プロダクションは、菅田将暉くん、松坂桃李くん、中村倫也くん、佐々木希さん、杏さんなど、今をときめくトップスターを多数擁するトップコート。この連載の【第22回の記事】でも紹介しましたが、昭和芸能界のカリスマ・ナベプロ(渡辺プロダクション)創設者・渡辺晋氏の次女である渡辺万由美氏が社長を務めています。トップコートは非常に真面目というか、きちんとした会社なので、きっとすぐさま謝罪コメントを出そうとしたはずなんです、本来なら。そうしなかったのは、きっと年長者である山田くんへの配慮でしょうね。長幼の序を大切にするトップコートらしい判断だといえるかもしれません。山田くんをさしおいて、真剣佑サイドがまっさきにコメントを出すわけにはいかない……と判断したのだというわけです。

 でも、山田くんはなかなか謝罪コメントを出さなかった。山田くんは、4月にも合コンをドタキャンされて男友達と夜の銀座で盛り上がっていたのを記事にされ、さんざん叩かれたばかり。にもかかわらず沖縄旅行に出かけていたということは……山田くんとしては「別に悪いことはしてないんだから、謝る必要はないだろう」というスタンスなんじゃないですかね、おそらくですが。

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2019年に幻冬舎より発売された新田真剣佑の写真集『UP THE ROAD』

スターダスト社内でも“独立状態”の山田孝之

 山田くんの所属事務所は大手のスターダストプロモーションなのですが、売れっ子俳優であり、プロデューサー・監督・製作総指揮など、作り手側としても確固たる存在感を発揮している山田くんは、もはや事務所のマネジメントなどほとんど必要としていないようです。数年前に事務所からの独立をほのめかしたこともあり、すでにほとんど“社内独立”しているような状態。なので、今回の件についても、沖縄に行ったのも、謝罪コメントを出さないのも、事務所がどうこうできるような問題ではなく、すべてが基本的には山田くんの意向、なのだだと思います。

 で、真剣佑サイドが山田くんの出方うかがっているうちに、Nikiちゃんが謝罪コメントを出してしまった。Nikiちゃんの所属事務所はエイベックス・マネジメント。6月にエイベックス・グループの株主総会が控えていたので、一刻も早く火消しを図りたい……という意図も多分にあったんじゃないですかね。5月に、同じく文春に大麻使用告発記事を掲載されたエイベックスの松浦勝人氏が、CEOをサクッと退任したのも同じような理由なんじゃないか……と僕は推測しています。

スクープされた側の事情も垣間見えるスキャンダル報道

 それで、真剣佑くんのところも、とうとう待ちきれなくなって謝罪コメントを出した。もしかしたら山田くんは一番最後にコメントを出すのはあまりにもカッコ悪いので、より一層出さない方向でいることにしたのかもしれないですね。

 今回のスクープにおける謝罪コメント発表が、こんな足並みの揃わない、変な順序になってしまったのは、そういういきさつだったと思われます。

 このように、芸能スクープの裏側には、スクープした側だけではなく、された側のいろんな事情やかけひきが多数存在しているんですね。そのような観点から芸能ニュースをいろいろ分析してみると、芸能界のことがもっとよくわかって面白いですよ。まあ、他人事だからこんなことがいえるのであって、実際、自分の事務所の所属タレントがスクープされた際には、面白いなんてとてもいってられないんですけどね……。

(構成=白井月子)

芸能吉之助/芸能マネージャー

芸能吉之助/芸能マネージャー

弱小芸能プロダクション“X”の代表を務める、30代後半の現役芸能マネージャー。趣味は食べ歩きで、出没エリアは四谷・荒木町。座右の銘は「転がる石には苔が生えぬ」。

Twitter:@gei_kichinosuke

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