
新型コロナウイルス感染拡大の影響が、テレビ局の業績を直撃した。民放キー局5社の2020年4~6月期の連結売上高は各局とも減収だった。地上波テレビを中心に広告が減少し、イベントの中止が響いた。
営業利益段階では、テレビ東京ホールディングス(テレ東HD)が増益。BS放送で番組制作費を削ったほか、広告収入の落ち込みも限定的で通販が好調だった。残る4社は営業減益。なかでもフジ・メディア・ホールディングス(フジHD)は6割を超える大幅な減少となり、不振ぶりが際立った。
純利益でもテレ東HDだけがプラス。4社が減益だった。フジHDは9割を超える減少。日本テレビホールディングス(日テレHD)も8割を超える落ち込みだった。
東京放送ホールディングス(TBSHD)とテレビ朝日ホールディングス(テレ朝HD)は20年3月期決算で過去最高の純利益をあげたが、一転して減益となった。
テレビ局の収益力を示す売上高営業利益率は日テレHDが6.5%でトップ。TBSHDの5.0%が続き、以下、テレ朝HDが3.9%、テレ東HDが2.5%、フジHDが2.3%。フジHDは収益力でも日テレHD、TBSHDに大差をつけられた。
株式時価総額は日テレHD、TBSHDが3000億円台。フジHDが2000億円台、テレ朝HDが1000億円台、テレ東HDが1000億円未満。四半期決算の発表を受け、株式市場の評価は実にシビアだった。
【民放5社の連結決算(20年4~6月期)】
社名 売上高 営業利益 純利益
フジHD 1202億円(▲19.4) 28億円(▲62.5) 20億円(▲90.6)
日テレHD 805億円(▲21.0) 53億円(▲45.6) 15億円(▲81.7)
TBSHD 691億円(▲21.9) 35億円(▲28.1) 47億円(▲27.0)
テレ朝HD 574億円(▲19.8) 23億円(▲9.4) 23億円(▲7.6)
テレ東HD 312億円(▲12.4) 8億円(57.7) 4億円(4.3倍)
(カッコ内は前年同期比増減率、▲はマイナス)
日テレが全日、ゴールデンタイム、プライムタイムの「3冠王」を維持
テレビ局の趨勢を推し量る指標が世帯視聴率だ。ビデオリサーチがまとめた2020年3月期・通期の主要局(NHK含む)視聴率調査(週ベース、関東地区)によると、全日(6~24時)、ゴールデンタイム(19~22時)、プライムタイム(19~23時)とも日テレが首位だった。
各社が最も力を入れるゴールデンタイムの視聴率は日テレが11.6%。2位はテレビ朝日の10.8%、3位がNHKの10.5%。上位3局がしのぎを削る。4位はTBSの9.1%、フジテレビは5位で8.3%、6位がテレ東の6.0%だった。
視聴率3冠を維持した日テレの編成方針は、個人視聴率に重点を置き若年層へのアプローチを積極的に行う「次世代視聴者開拓」だ。地上波中心に「マルチプラットフォーム戦略」を推進するなど、将来を見据えた方向性を打ち出している。