雪国まいたけ、創業者追放&外資系ファンドによる買収に加担した「第四銀行」の信義違反の画像1
「新潟産 雪国まいたけ」(通販サイト「Amazon」より)

 きのこの生産や販売を手がける雪国まいたけは9月17日、東京証券取引所に再上場する。8月14日に上場承認を得た。市場は1部または2部。同社株を51%保有する米投資ファンドのベインキャピタルが保有株を売り出す。株式の一部は現在49%の株式を保有するコメ卸大手、神明ホールディングスが引き受ける。雪国まいたけは神明の連結子会社となる。

 2000年3月、東証2部に上場。過去の不適切会計や創業家と経営陣との対立で経営が混乱し、15年、ベインがTOB(株式公開買い付け)を実施し、15年6月に上場廃止になった。16年3月期の売上高にあたる売上収益は265億円だった。上場は、およそ5年ぶりとなる。

 ベインと、17年に株式を49%取得した神明のもとでキノコの生産・販売を拡大してきた。20年3月期の売上収益は345億円。まいたけ事業が198億円を占める。同社によると、まいたけの生産量は業界首位だという。再上場後の初の決算となる21年3月期の連結決算は、売上収益が前期比3.2%増の356億円、営業利益は24.4%増の83億円、純利益は17.3%増の50億円を見込む。

 健康志向の高まりもあり、まいたけ事業を中心にきのこの販売を強化。神明のネットワークを活用し西日本での販路拡大に取り組み、海外への本格輸出にも力を入れる。23年3月期までの中期経営計画では、営業利益で年平均7%前後の成長を目指している。とはいえ、上場廃止時に、あれだけのドタバタ劇を演じた会社を、ファンドの出口戦略だけで再上場させていいものなのか。

 雪国まいたけのTOB騒動を振り返ってみよう。

経営陣と取引銀行が仕組んだ奇々怪々なTOB

 創業者である大平喜信氏は6畳一間で起業し、希少価値から「幻のキノコ」と呼ばれていたまいたけの人工栽培、量産化に成功したベンチャー起業家である。不正会計問題で創業社長の大平氏が13年11月5日に辞任して以来、経営の混乱が続いた。

 14年6月27日の株主総会で、会長兼社長に元ホンダ専務の鈴木克郎氏が就任。東亜燃料工業(現・ENEOS)社長、日本銀行政策委員会審議委員、金融庁顧問を務めた中原伸之氏、人工雪のベンチャー企業、スノーヴァ(現・GNU)の元社長の大塚政尚氏と弁護士の荒木和男氏が社外取締役に就いた。

 のちに大平氏は「私は鈴木氏を知らなかった。経営陣に入ってもらおうと考えていた20年来の知人の元大学教授から日銀の審議委員を紹介され、その人物が連れてきた。信頼して取締役に選んだが、社長就任は想定外だった」と語っている。創業者側と鈴木社長が対立。大平氏の親族は、15年3月末までに臨時株主総会の開催を請求した。創業家の意向をくむ取締役を増やして、鈴木社長らの影響力を抑える作戦だった。