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破綻した東京ミネルヴァ法律事務所…問題発覚後も求人情報掲載を続行した日弁連の“罪”

文=寺澤 有/ジャーナリスト
破綻した東京ミネルヴァ法律事務所…問題発覚後も求人情報掲載を続行した日弁連の“罪”の画像1
日本弁護士連合会の公式サイト。1949(昭和24)年に、弁護士法第45条から第50条に基づき設立された。

 2020年6月24日に東京地裁から破産手続き開始の決定を受けた「弁護士法人東京ミネルヴァ法律事務所」(以下、東京ミネルヴァ)。本連載では、東京ミネルヴァが「非弁提携」(弁護士が弁護士以外の者から依頼者を紹介されて報酬を分配することなど。弁護士法違反)を行っていた疑いと、それを日本弁護士連合会(以下、日弁連)以下の弁護士会が知りながら放置してきた疑いを追及している。

 ここに来て、さらに疑いが深まる事実が発覚した。日弁連が公式のフェイスブックに東京ミネルヴァの採用情報を掲載していたのだ。「若手弁護士・司法修習生の皆様へ あなたを呼ぶ声が聞こえますか」というキャッチコピーで。

 東京ミネルヴァの負債は約51億円。そのうちの約30億円は消費者金融などから返還された過払い金(契約者が利息制限法の上限金利を超えて支払っていた金利)で、本来、報酬を差し引いて依頼者へ送金していなければならないもの。しかし、それが元武富士社員らが経営する広告代理店「リーガルビジョン」(以下、LV)などへ流出していたのである。

 消費者被害を防ぐべき弁護士が、一大消費者被害事件を発生させたのはゆゆしき事態。しかも、そこに弁護士会の関与があったのは間違いない。

破綻した東京ミネルヴァ法律事務所…問題発覚後も求人情報掲載を続行した日弁連の“罪”の画像2
2013年当時の日弁連公式フェイスブックに掲載された、東京ミネルヴァの採用情報。問題発覚後も掲載を続けていたのはゆゆしき事態ではないか。

問題発覚後も求人情報の掲載を続けた日弁連

 日弁連がフェイスブックに東京ミネルヴァの採用情報を掲載したのは、2013年の1月30日と10月23日。問題は、当時、すでに東京ミネルヴァなどの法律事務所と元武富士社員らの会社との非弁提携が当事者の弁護士により告発されていたことだ。

 2009年6月、東京弁護士会(以下、東弁)所属の松永晃弁護士は、広告代理店「DSC」(LVの前身)と元武富士社員3人が取締役を務める人材派遣会社「KKサポート」の支援で、「つくし法律事務所」を開設した。しかし、同年10月、松永弁護士は「元武富士社員らが、つくし法律事務所を乗っ取ろうとしている」として、両社との関係を絶った。

 その後、松永弁護士とDSCやKKサポートとの間で、広告料の支払いや拠出金の返還などをめぐる訴訟がいくつか提起された。KKサポートの代理人は東京ミネルヴァの室賀晃代表弁護士(当時)が務めていた。

 一連の訴訟の判決は、DSCやKKサポートが非弁提携を計画したり、一部を実行したりしていたことは認めつつも、松永弁護士に対し、両社へ数千万円を支払うよう命じた。

 訴訟が係争中、松永弁護士は月刊誌『紙の爆弾』(鹿砦社)でDSCなどの非弁提携を告発している。2010年8月号の「『債務整理業』に横たわる『非弁行為』の不法を告発!」と題する記事と、2012年7月号の「”非弁提携”悪徳弁護士と『債務整理』ビジネスの闇」と題する記事だ。

 加えて松永弁護士は、東京ミネルヴァなどの法律事務所と元武富士社員らの会社との非弁提携について、直接、各弁護士会へ告発している。以下、一連の訴訟で松永弁護士が提出した書証や準備書面から引用する。

○「資料を送付させていただきます。当職が、東京第1弁護士会及び日弁連に提出した『告発書』です。その結果として、東京第1弁護士会及び日弁連が当職に事情の聴取を求める予定となっております」(2010年4月ごろ、松永弁護士が鹿砦社の松岡利康社長へ送った手紙)

○「DSC裁判について報告致します。『経過報告書』と言う(ママ)形で纏めましたので添付します。訴訟の方向性は、あまり、いいものではないのですが、関係する諸先生に回覧していただけるよう、お願い致します。双方の最終準備書面は、11月30日に持参する予定です。他の書面、証拠についても、不足分を確認し、なるべく早めに提出いたします」(2011年11月24日、松永弁護士が東弁司法調査課事務局の杉山さやか氏へ送ったメール)

○「いつもお世話になっております。ご連絡ありがとうございました。先生方にご連絡しておきます」(2011年11月25日、上記のメールに対する杉山氏の返信)

○「控訴人は、東京弁護士会から、被控訴人DSCが整理屋であるので、整理屋組織DSCとの訴訟に関する全書面の提出を求められていた。そして、原審でも述べたとおり、整理屋組織DSC撲滅のための報告会が、東京弁護士会が公式に主催したものとして2回、非公式なものでさえも数回行われた」(2013年11月18日、松永弁護士が東京高裁へ提出した準備書面)

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