西武グループの落日…主力「西武鉄道」「プリンスホテル」、利用者激減で危機深まるの画像1
プリンスホテルパークタワー(「Wikipedia」より)

 新型コロナウイルスの影響で業績が悪化している西武ホールディングス(HD)は財務基盤を強化するため、子会社の西武鉄道とプリンスホテルが年内に800億円規模の資本増強を実施する。

 西武HD傘下の2社は優先株による第三者割当増資を実施。優先株は議決権がないなどの制限があるが、普通株式よりも配当や会社解散時の財産配分で優遇されることから、普通株よりも引き受け手を見つけやすく、主力銀行のみずほ銀行と日本政策投資銀行(政投銀)が引き受ける。

 金融機関と交渉して借入金の財務制限条項を「純資産2800億円以上」に引き下げた。6月末の純資産は3385億円で19年3月末に比べて2割減。減少率は主要な鉄道会社で最大という。赤字決算が不可避で21年3月期末の純資産は3010億円に減る見通し。資本増強は喫緊の経営課題だった。コロナ経済下で鉄道会社の資本増強が明らかになるのは初めてだ。

21年3月期は630億円の最終赤字

 2021年3月期の連結最終損益は630億円の赤字(前期は46億円の黒字)を見込む。過去最大の赤字で無配に転落する。売上高にあたる営業収益は前期比40%減の3320億円と大幅な減収。営業損益は560億円の赤字(同568億円の黒字)になる見通しだ。

 西武グループは大きく5つの事業に分けられる。西武鉄道は東京の池袋・新宿から西に伸びている。もう1つの柱がプリンスホテルに代表されるホテル・レジャー事業だ。国内47、海外33のホテルがある。不動産、建設、埼玉西武ライオンズなどのその他の事業を加えて5つになる。

 外出自粛などの影響で西武鉄道は通勤・通学の定期収入、定期外収入ともに落ち込んだ。4~6月の運賃収入は前年同期比44%減。7月29%減、8月28%減と苦戦が続く。企業が通勤費を実費精算に切り替える動きが出ており、固定の収入源であった通勤定期が元に戻ることは難しいとみている。21年3月期の旅客運輸収入は26%減の736億円(前期は995億円)になる。

 西武鉄道を中核とする都市交通・沿線事業の21年3月期の営業収益は前期比27%減の1228億円、営業損益は73億円の赤字(同229億円の黒字)を予想。新型コロナの影響による減収分は530億円と試算している。

 ホテル事業も振るわない。プリンスホテルは、4~7月に47ホテルのうち42カ所が休業。2021年3月期の客室稼働率は前年同期比74%減の4.3%にまで落ち込んだ。外国人客の姿は消え、平日のビジネス需要も戻らず、7月13.1%減、8月22.9%減と低迷。21年3月期の客室稼働率は24.0%(前期は71.9%)と想定としている。

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