コロナ下で上場“熱狂”、リーマン後の最大数に…AI・金融工学・クラウドがブームの画像1
「Getty Images」より

 日本取引所グループ(JPX)は2020年の国内証券取引所への新規株式公開(IPO)企業数が前年比8社増の102社になる見通しだと発表した。春先に新型コロナウイルスの感染拡大で延期や中止が相次いだが、その後の株価の回復を受けて盛り返した。

 100社を上回るのは07年(121社)以来13年ぶりの高水準。リーマン後の09年に19社に落ち込んだ後、徐々に回復。17、18年は90社、19年は86社で推移してきた。今年は感染拡大による株価急落で3月以降、18社が上場を中止した。IPOは2カ月以上休止状態となり、再開したのは6月だった。年間で前年比3~4割減るとの見方もあったが、7月以降、急回復した。

 各国の中央銀行が大規模な金融緩和を続けたことや、ワクチン開発への期待から株式市場へ資金が流入し、一転して株高の流れとなった。日経平均株価(225種)は夏以降、上昇傾向が鮮明となり、2万6000円台を回復し、約29年ぶりの高値となった。東証マザーズ指数も10月に14年ぶりの高値を記録した。

 こうした流れを受け、春先にいったん上場を中止した18社のうち10社が上場企業となった。

 今年の上場で目立つのはクラウドやインターネットといったIT(情報技術)系や、巣ごもり消費の恩恵を受ける消費系など。コロナ下でも成長できる企業群だ。テレビ通販や量販店で実演販売を行っているコパ・コーポレーションは1度上場を中止した後、再び承認を受けて6月に上場を果たした。株価は8月末に9320円と公開価格(2000円)の約4.7倍に上昇した。

 9月末に上場した人工知能(AI)システム開発のヘッドウォータースの初値は公開価格(2400円)の11.9倍(2万8560円)に暴騰した。ただ、今年のIPOは小粒だ。これまで上場した企業のうち、初日の時価総額がもっとも大きかったのは雪国まいたけの約832億円だった。

 大型上場として期待されていた半導体メモリー大手、キオクシアホールディングス(旧東芝メモリホールディングス)は、10月6日に予定していた東証への上場を延期した。米政府の取引規制によって、大口取引先である中国通信機器最大手、ファーウェイ向けの売り上げが計上できなくなるためだ。“米中貿易戦争”のとばっちりを受けた。キオクシアの時価総額は約1兆5000億円強が見込まれ、2020年最大のIPOになるはずだった。

年末にIPOラッシュが到来

 例年12月はIPOラッシュの月だ。今年も月後半に前年を5社上回る26社の新規上場が予定されている。東京証券取引所は22年4月をメドに、現在の4市場を3市場に再編する方針だが、新市場の上場基準の詳細がまだ明らかになっておらず、新たな基準が明らかになる前に駆け込み的に上場しようとする動きが顕在化。例年以上のIPO人気となった。

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