コロナ関連の給付金や助成金、課税・非課税リスト!PCR検査やマスクは医療費控除対象?
元国税局職員、さんきゅう倉田です。好きなNintendo Switchのソフトは「でていけ タックスヘイブンの島」です。
新型コロナウイルスの流行を受けて、国や地方自治体がさまざまな支援や助成を行っています。国民に一律に配られた10万円は、ほとんどの方が受給されたのではないでしょうか。また、個人事業者であれば、持続化給付金や家賃支援給付金を受け取っているかもしれません。
しかし、それらのお金をもらったはいいものの、収入として計上するべきなのか、確定申告が必要なのかわかりません。会社員やパート・アルバイトなど税に明るくない職業の方がいるにもかかわらず、ほとんど案内されていないと思います。
もちろん、調べれば出てきますが、最初から明らかになっていたわけではありません。我々税金関係者も取り扱いがどうなるのか、様子を窺っていた時期があるくらいです。
今回は、みなさんがもらったであろう給付金や助成金の所得税法上の取り扱いをまとめています。
国や地方公共団体から助成金が支給された場合の取り扱い
【税金がかからないもの】
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金
新型コロナウイルス感染症対応休業給付金
特別定額給付金
子育て世帯への臨時特別給付金
学生支援緊急給付金
低所得のひとり親世帯への臨時特別給付金
新型コロナウイルス感染症対応従事者への慰労金
企業主導型ベビーシッター利用者支援事業の特例措置における割引券
東京都のベビーシッター利用支援事業における助成
【税金がかかるもの】
その内容によって、所得区分が異なります(所得区分が異なると、所得税の計算方法が異なりますが、確定申告書の様式などは変わりません。複数ある場合は、まとめて確定申告します)。
〇事業所得になるもの
持続化給付金
家賃支援給付金
農林漁業者への経営継続補助金
文化芸術・スポーツ活動の継続支援
東京都の感染拡大防止協力金
雇用調整助成金
小学校休業等対応助成金
小学校休業等対応支援金
○一時所得になるもの
持続化給付金(給与所得者向けの特例の場合)
Go Toキャンペーン事業における給付金
○雑所得になるもの
持続化給付金(雑所得者で確定申告をしている人は事業所得でなくこちらになります)
※所得区分は、各人の状況によって変わる場合があります。
学生に対して大学等から助成金が支給された場合の取り扱い
学生には、行政からだけでなく、各大学からも支援が行われています。まず、それらを調べて支援を受けることが大切ですが、税の取り扱いについても知っておくと良いと思います。
・学費を賄うために支給された支援金…非課税所得となる「学資金」に該当するので、税金はかかりません。
・生活費を賄うために支給された支援金…一時所得になるため、他の一時所得と合計して確定申告を行います。ただし、年間50万円の控除があるため、それ以下であれば申告不要です。
なお、競馬やパチンコなどのギャンブルで得た利益は、一時所得となります。
・感染症に感染した学生に対する見舞金…こちらも非課税所得となるため、税金はかかりません。
・遠隔授業を受けるためにもらったパソコンやカメラ、マイクなど…非課税所得となる「学資金」に該当するので、税金はかかりません。
PCR検査とマスクは医療費控除の対象か
医療費控除の対象は、診療や治療、医薬品の支払いです。よって、マスクを買っても医療費控除の対象となりません。また、医師等の判断によりPCR検査を受けた場合は、医療費控除の対象となります。ただし、自己負担部分に限ります。
自主的にPCR検査を受けた場合は、感染していないことを明らかにする目的で受けたのであれば、医療費控除の対象となりません。ただし、「陽性」であることが判明し、引き続き治療を行った場合には、その検査は治療に先立って行われる診察と同様に考えることができるので、検査費用は医療費控除の対象となります。
2020年分の確定申告に向けて、今のうちから調べ、備えておきましょう。
(文=さんきゅう倉田/元国税局職員、お笑い芸人)