
業界規模の縮小が続く中、2020年は新型コロナの流行によって多くのパチンコ店が売り上げと利益を大きく減らし、廃業や閉店が相次いだ。
すべての旧規則機が撤去となる2021年1月末を控えた2020年は、多くのパチンコ店が新規則機の入れ替え費用という大きな負担に苦しむだろうと言われていた試練の年だった。そこに加えて、新型コロナの大流行である。
そんな2020年を何とか乗り越えた先に、明るい未来はあるのか。大阪の中規模店で店長を務めるKさんに話を聞いた。
新規則機への入れ替えに苦しむホール
「大阪は他の都道府県と比べて『ミリオンゴッド~神々の凱旋』(以下、凱旋)の認定が遅かったので、うちは2021年の1月頭まで設置できますが、圧倒的な稼動と粗利で貢献してくれた『凱旋』がなくなるのは、本当に痛いですね」(K氏)
全国的に見れば『凱旋』の撤去は着々と進み、設置期限を過ぎても稼動させていた町田市のパチンコ店に対し、東京都遊技協同組合(都遊協)はペナルティとして組合員資格の停止を決定した。
「でも、営業停止になるわけでもないし、処分を受けても『凱旋』を使い続けているんでしょ。しかも、資格停止は60日のみ。そんな処分に意味があるのでしょうか?」(同)
正直者がバカを見る状態では、業界の取り決めや自主規制を守らないパチンコ店が今後どんどん出てきてもおかしくない、とK氏は危惧している。
「『新規則機に入れ替えろ』と言われても、『凱旋』に代わる機種がない。『押忍!番長3』や『バジリスク絆2』など、複数の機種で『凱旋』の穴を埋めなければいけない今の状況は、本当にきついです」(同)
昨年、パチンコでは『大工の源さん 超韋駄天』がヒットし、増台が相次いだが、今では客が飛んでいるホールも少なくない。そもそも数週間で稼動が落ちてしまう新台も多く、1台あたり30万~40万円も払って入れ替えを強いられるホールのつらさは計り知れない。
「この先、新規則機への入れ替えが段階的に進むので、そのタイミングや導入する新台の選定も、ホールの経営に大きな影響を与えるでしょうね」(同)
撤去期限を迎える前に中古市場に流せば、多少であれ売却益をあげることができるが、『凱旋』のように高い粗利を生む台は撤去期限まで使い続けることになる。そして、撤去後はメーカーや回収業者に買い取ってもらうまでの間、倉庫などに保管するのだが、買い取ってもらえない場合はパチンコ店が費用をかけて処分しなければならないのだ。
「保管用倉庫の費用が発生しているホールは大変でしょうね。全国で200万台以上と言われる旧規則機をスムーズに入れ替え、処分できるかどうかは心配の種です。これは、業界全体で共有するべき問題だと思います」(同)
旧規則機の撤去期限は2021年1月末だったが、新型コロナによる経済的影響を鑑み、最大2021年11月末まで延長されることが決まった。
「期限の延長は助かります。機械代の負担を先送りできるということですから。ただし、融資を受けて何とか生き延びるなど、自転車操業でギリギリ耐えているホールも多いので、まだまだ正念場が続くと思いますね」(同)