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ライザップ信用失墜、瀬戸社長「赤字なら辞任」→赤字でも続投…コスト削減依存経営の限界

文=編集部
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ライザップ公式ツイッターより

 外食・小売り企業が苦境に直面している。緊急事態宣言の再発出で業績はさらに悪化する。2月期決算、3月期決算企業の業績見通しの下方修正が相次ぐことになるとみられている。

 そんななかでRIZAPグループ(以下ライザップ、札証アンビシャス上場)の瀬戸健社長の強気の発言が目を引く。2021年3月期はコスト削減で3期ぶりに連結営業黒字を目指すというのだ。固定費の削減だけで今期の営業黒字を達成できるのだろうか。

 瀬戸社長といえば、19年6月の株主総会で、「赤字は絶対にありえないという自信と確信を持っている。(20年3月期が)黒字にならなかったらこの場にはいない」と宣言したが、黒字化を果たせず、「結果にコミット」できなかった過去があるからだ。

「赤字は絶対にありえない」と大見得を切った20年3月期は60億円の最終赤字。19年3月期の194億円に続いて2期連続の赤字を記録した。「黒字にならなかったらこの場にいないはず」の瀬戸社長は続投した。コロナ禍で上場企業が軒並み大打撃を受ける21年3月期決算で、瀬戸氏はあえて「連結営業黒字を目指す」と述べたのである。

20年7~9月期は固定費削減で営業黒字

 ライザップの20年4~9月期の連結決算(国際会計基準)は、売上高にあたる売上収益が前年同期比17%減の852億円、営業損益段階で4億円の赤字(前年同期は29億円の黒字)、最終損益は18億円の赤字(同6600万円の赤字)だった。

 フィットネスジムをはじめとするRIZAP事業を中核に据え、美容と健康に関連した商品のインターネット通信販売や生活雑貨、ゲームセンター、アパレルなど、さまざまな業態の企業を傘下に収め業容を拡大してきた。20年4月7日から5月25日の緊急事態宣言発出中に、グループ全店舗数の約7割にあたる780店舗を臨時休業するなど、厳しい経営環境が続き赤字が累積した。にもかかわらず、21年3月期は営業黒字を目指す根拠はなんなのか。

 20年7~9月期の営業損益が19億円の黒字となり3四半期ぶり黒字に転換したことが強気の背景にある。主力のフィットネスジムなどが臨時休業を余儀なくされていた4~6月期(24億円の営業赤字)から、収益面で大きく改善した。

 フィットネスジムなどRIZAP事業の新規契約件数は、4月は前年同月比89%減、5月は94%減と激減した。スポーツジムは「3密」になりやすいといわれているが、意外にも8月は8%増、9月が7%増と前年同月を上回った。その結果、5月に前年同月比85%減に落ち込んでいた売上高は9月には18%減まで戻した。外出自粛による運動不足を効率的に解消したいと考える人が増えた、と見ている。7~9月期に営業損益が黒字化した主な理由は「断捨離の効果」(瀬戸社長)なのだそうだ。断捨離というのは費用削減のことである。20年4~9月期に販管費を前年同期比74億円減らした。

 フィットネスジムという業態は、人件費や家賃など固定費が圧倒的に多い。トレーナーなどの人員の配置や拠点を効率化、賃料減額交渉などで固定費を61億円減らしたという。広告宣伝費、販促費といった変動費も13億円減らした。この実績を踏まえ、21年3月期は「固定費を(前期より)70億円以上抑えられる」という発言をしたのである(1月5日付日本経済新聞より)。

上場小売り3社を統合し、ネット通販を強化

 ライザップは積極的に買収し連結子会社に組み込んだ企業の収益の悪化に苦しんできた。19年3月期から不採算事業の売却に踏み切った。20年12月、印刷会社のエス・ワイ・エス(東京都台東区)と北斗印刷(福島県会津若松市)をシスコ(東京都台東区)に売却し、連結決算の対象から外した。

 プライベートブランド商品の開発やネット通販強化のため、上場会社3社を経営統合する。カジュアルウエア専門店を展開するジーンズメイト(東証1部)、ゲームソフトなどを手掛ける「新星堂」を展開するワンダーコーポレーション(ジャスダック)、インテリア雑貨のHAPiNS(ジャスダック)の3社。株式移転により、共同持ち株会社REXT(レクスト)を新たに設立する。

 臨時株主総会を経て3社は21年3月末に上場廃止とし、4月1日付でREXTのジャスダック上場を考えている。ライザップがREXTの69.8%の株式を保有する見込み。3社の売上高(20年3月期)を単純合算すると約770億円。新会社の社長にはワンダーコーポレーション社長の内藤雅義氏が就く予定だ。

 ジーンズメイトとワンダーコーポレーションは早期退職を募集し、経営のスリム化を進めてきたが、経営統合をテコに間接部門、物流部門のさらなる効率化を図る。経営統合の狙いはネット通販の強化だ。ジーンズメイトはインバウンド需要が蒸発したことから、EC(電子商取引)部門に力を入れてきたが、20年4~9月のEC売上は全体の11%にとどまる。ワンダーコーポレーションは20年10月にECサイトを開設したばかりだ。HAPiNSはオンラインショップの売上高を大きく伸ばしたが、実店舗の減収分を補えなかった。

 果たしてライザップは経費削減効果で21年3月期に連結営業黒字を実現できるのだろうか。瀬戸社長は公約が実現できなかった場合の自身の進退については言及していない。

(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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