ドコモとNTT東西の統合、公平な競争損なう懸念…ソフトバンク、「構造的な分離」要求の画像1
NTT本社が入居する大手町ファーストスクエア(「Wikipedia」より)

 巨大NTTが復活するのか――。

 NTTドコモが上場廃止になった2020年12月25日に開かれた総務省の有識者会議で、NTTはNTTドコモを完全子会社にした後の具体的なシナリオを明らかにした。まず21年夏をメドにドコモは長距離の固定通信やクラウドサービスのNTTコミュニケーションズ(コム)とソフトウェア開発のNTTコムウェアを子会社にする。現在、2社ともNTTが100%出資している。そして、22年春~夏頃に、ドコモやコムなどの機能整理を行うというものだ。

 個人向け営業はドコモが中心となって展開。ドコモの法人向け事業はコムに一元化し、無線と固定通信を融合した新しいサービスを提供する。ドコモは携帯料金の値下げで巻き返しを急ぐ。

 スマートライフと呼ぶ金融・決済やコンテンツ配信などについては、ドコモとコムが連携して拡大を目指す。両社の傘下に格安スマートフォン事業を展開するNTTレゾナントを加え、一体運営する。NTTはドコモを単なる携帯電話サービス会社からICT(情報通信技術)の総合企業に変貌させる。一連の再編でNTTを米GAFAに代表される巨大IT企業に対抗できるグループへと脱皮を図る。

次世代の通信規格6Gで「IOWN」の国際標準へ

 NTTは18年8月、澤田純氏が社長に就任した。その1年後の19年10月31日、30年ごろの実用化が見込まれる次世代の通信規格6Gでソニーや米インテルと連携すると発表した。20年春に日本で商用化した5Gで後塵を拝した日本勢は、6Gでは“純血主義”を捨てて巻き返す。

 5Gでは半導体技術で米クアルコム、基地局ではフィンランドのノキア、スウェーデンのエリクソンが多くの特許を持ち、規格作りを主導した。中国の華為技術(ファーウェイ)も技術力を高めて特許数が急増した。一方、日本企業は特許数で見劣りするなど主導権を握れなかった。

 そうした反省からNTTは6Gで主導権を握るべく、光通信技術「IOWN(アイオン)」と呼ぶネットワーク構想を19年6月に発表した。IOWNは消費電力を100分の1にできる技術で、世界の通信大手も注目する。IOWNを使った回路基板が実現すれば、「スマホの充電が1年間不要になる可能性がある」(関係者)。

 NTTの澤田社長は光通信技術で世界の覇者になる構想を抱く。その実現に向け、NTTグループの再編に拍車がかかる。IOWNを迅速に実用化するためだ。ドコモ、コムのネットワーク設備にIOWNを応用し、ノウハウを蓄積する。システム開発やソフト開発で人材が豊富なコムウェアを活用する。

 IOWNを世界の標準規格にするためには莫大な研究開発費が必要になる。NTTの売上高に占める研究開発費の割合は2%。GAFAと呼ばれる、グーグルの親会社アルファベットは16%、アップル(7%)、フェイスブック(19%)、アマゾン・ドット・コム(13%)と比べても、その差は大きい。NTTもグループで研究開発のリソースを集約しなければ、GAFAにのみ込まれてしまう。

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