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『おちょやん』をも席巻するヅカ女優たち…天海祐希、涼風真世ら宝塚OGの奥深き魅力

文=wojo(宝塚大好き女性医師)

杉咲花の演技がうますぎる」「テンポがよい」などと話題になっているNHK朝の連続ドラマ小説『おちょやん』。このドラマの出演者に、映美くらら、明日海りお、星蘭ひとみ……と華やかな名前の女優が名を連ねているのにお気づきだろうか。彼女たちはみな、宝塚歌劇団の卒業生、いわゆる「宝塚OG」という人たちだ。(映美くららは元月組トップ娘役、明日海りおは元花組トップスター、星蘭ひとみは元星組娘役・専科)

 宝塚歌劇団には毎年40人前後が入団し、ほぼ同数の40〜50人が退団していく。退団後の道はさまざまであり、最近ではドイツのベルリンを拠点として写真家として活躍する四方花林(元星組娘役、現役時代の芸名はひなたの花梨、94期生)や、退団後に医学部を受験し医師になった銘苅美世(元花組娘役、現役時代の芸名は芽衣かれん、80期生)など多彩なキャリアを積む卒業生もいる。

 が、やはり宝塚OGのセカンドキャリアとして王道といえるのは女優としての活躍。ここでは、ヅカオタ歴四半世紀以上のヅカオタ女医・wojoが、宝塚時代に男役だったスターを、大変僭越ながら勝手にランク付けさせていただきたい。なお、テレビ、映画、舞台等多分野でバランスよく活躍しており、宝塚ファン以外への露出も多いスターを高ランクとした。

【第5位:遼河はるひ】人力舎に所属し、親しみやすさを武器にバラエティもいける稀有な存在

1976年、愛知県名古屋市生まれの45歳、身長173cm、所属はプロダクション人力舎。

 宝塚音楽学校には、史上最高の倍率(48.25倍)といわれた82期として1994年に入学。新人公演で主役を務めるなどスター路線であったがトップスターには至らず、三番手格で2009年に退団、現在はプロダクション人力舎に在籍。舞台、テレビドラマのみならず、バラエティ番組にも積極的に出演しており、いい意味で宝塚ズレしていない芸風が売り。

 芸能界入りする宝塚OGとしては異色ともいえる一般性をまとい、バラエティのひな壇にもなじみやすい。宝塚時代には顔の濃い男役に分類されるスターであったが、退団後は涼やかな、ただ目力だけが普通の人より若干強い、素敵なお姉さん的なキャラといえよう。

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キレイなお姉さん的な立ち位置でも活躍する遼河はるひ。(写真はKADOKAWAより刊行の初の料理本『調理も保存も、超カンタン!! 遼河はるひのフリーザーバッグまる活ごはん』)

【4位:真飛聖】地味な役から派手な役まで、芸の振り幅の大きさが魅力

1976年、神奈川県川崎市生まれの44歳、身長169cm、所属はワタナベエンターテインメント。

 花組元トップスター(2008年~2011年)。若手時代を過ごした星組で培った男くささを武器に、華やかさが売りの花組でトップとして活躍、ショー『Exciter!!』などの名作を世に送り出した。第5位の遼河はるひ同様、彼女もいわゆる宝塚OGとしてのクセがなく、退団後は特にテレビドラマへの露出が多い女優として活躍。

 2021年1月から放映中のドラマ『その女、ジルバ』(フジテレビ系)では、主人公の物流倉庫での同僚のひとりである村木みか役を好演。一方で舞台では『マイ・フェア・レディ』のイライザ役を演じるなど、地味な役から華やかな役まで芸の振り幅が大きいスターである。第44回日本アカデミー賞優秀作品賞等を受賞した『ミッドナイトスワン』(2020年公開)でのバレエ講師役の好演も記憶に新しい。芸能界入りして超ブレイクした宝塚OGとまではいかないが、芸の手堅さから今後も多方面で重宝されそうである。

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元宝塚男役のメイクアップアーチスト・CHIHARUによるメイク本『宝塚OGメイク 若返りコスメパレットBOOK』(宝島社)。表紙を飾ったのが真飛聖であった。

【3位:大地真央】UQモバイル“シニア三姉妹”でも見られる浮世離れした雰囲気こそ魅力

1956年、兵庫県洲本市生まれの65歳、身長166cm、所属は大地真央企画。

 宝塚OGは一般的に年齢不詳だが、その最たる人。が、1956年生まれであることが公表されており、なんと実年齢は60代半ばだ。宝塚時代は月組トップスターとして活躍(1982年~1985年)。筆者は現役時代の生での舞台を拝見できていないのだが、タカラヅカ・スカイ・ステージなどを通して宝塚現役時代の舞台を拝見するに、まさに「芸達者」という言葉がぴったりの、魅力ある、面白味に満ちたタカラジェンヌでおられたようだ(特に1984年の『ザ・レビュー2』はぜひともご覧いただきたい)。

 退団後、メディアに露出するときには一般ズレした宝塚OGとしての扱いであることが多いが、ミュージカルの舞台では『風と共に去りぬ』のスカーレット・オハラ役、『マイ・フェア・レディ』のイライザ役など、“ザ・主役”といえる役を長きにわたり務め、当たり役となっている。今ではスカーレット役とイライザ役はすでに演じなくなって久しいが、近年も毎年新たな舞台への出演を果たしており、元宝塚トップスターというだけでは説明がつけられないほどの精力的な活動ぶりである。2020年8月からは、「UQモバイル」の「シニア三姉妹」のひとりとしてCMにも出演しており、その浮世離れした雰囲気がCMキャラクターに非常にマッチしていると感じるのは筆者だけだろうか。

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主婦の友社刊行の『ゆうゆう』2020年9月号の表紙を飾った大地真央。年々進化し活躍し続けるのだ。

【2位:涼風真世】アニメ『るろうに剣心』の緋村劍心でも知られる艶声の元月組トップスター

1960年、宮城県石巻市生まれの60歳、身長163cm、所属は個人事務所。

「むかし妖精、いま妖怪、涼風真世です」という自虐的な自己紹介が一時期話題になった元月組トップスター(1991年~1993年)。東宝ミュージカルにプリンシパルキャストとして頻繁に出演し、ドラマも大河ドラマへの出演歴を重ねているが、不思議と映画は目立った出演歴がない。その代わりアニメ、またそれに付随するゲームへの声の出演が多い。

 アニメで特記すべき出演歴は、なんといってもアニメ『るろうに剣心』の緋村劍心役。宝塚男役時代から、声の色気ではピカイチといっていいほどだったが、その艶声は変わらず保たれている(と簡単に書いてしまったが、数十年声がほぼ変わらないって、ボイストレーニングなどによる努力のたまものなのではないか。とてつもないプロ精神を感じる)。最近では、2021年1月から上演されているミュージカル・ゴシック『ポーの一族』での老ハンナとブラヴァツキー役の怪演が話題になっている。

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涼風真世のデビュー35周年を記念して2016年に発売されたアルバム『Fairy』収録曲「不殺(ころさず)の誓い』 (作詩:小池修一郎/作曲:太田健、宝塚歌劇団雪組公演『るろうに剣心』より」は一聴の価値ありである。

【1位:天海祐希】早すぎる出世で宝塚を駆け抜けた伝説の男役、現在は「理想の上司」にもランクインの名優

1967年、東京都台東区生まれの53歳、身長171cm、所属は研音。

 宝塚をよく知らない方でも名前は知っているであろう、元月組トップスター(1993年~1995年)。入団1年目の末に新人公演で主役、7年目でトップ就任。一般に「男役10年」といわれ、男役としてまさにこれからとされる10年目を待たずに9年目で退団し、宝塚でのキャリアを異例の早さで駆け抜けた伝説の男役である。あまりに早すぎる出世スピードであり、在団中は常に若いスターという扱いだったため、現在の姉御的な立ち位置は、宝塚時代には見られなかった姿だ。

「理想の上司像」「女性が選ぶいい女ランキング」でも複数回ランクインするなど、芸能界において確固たる地位を築いている。退団後は長らくドラマや映画などの映像の分野で活躍していたが、近年は舞台出演も増えており、テレビ、映画、舞台、そしてCMも多数……と多方面にて活躍していることから、堂々の1位とした。

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日本のトップ女優のひとりとして活躍し続けている天海祐希(写真右/『最高の人生の見つけ方 オフィシャルフォトブック』キノブックス刊)

【番外編:七海ひろき】退団後に男役らしさに磨きをかけ、この後の活躍が期待される逸材

茨城県水戸市生まれ、身長173.5cm、所属はアンドステア。

 一般的な知名度は今ひとつかと思われる。89期生として2003年に入団、宙組を経て星組に異動、2019年に三番手として退団した。上記1位から5位の宝塚OGと一線を画しているのは、通常宝塚OGは退団後には「女性らしく」髪を伸ばしたり、スカートをはいたりされるところ、退団後さらに男役らしさをパワーアップさせ、「リアル彼氏」的なポジションを作り上げている点だ。

 芸能活動的にも、宝塚在団中にテレビアニメ『ノブナガ・ザ・フール』(2014年、テレビ東京系)で声優として活動したが、退団後も『織田シナモン信長』(2020年、テレビ東京系)等で声優として活躍するほか、舞台、ラジオ等多岐に渡って活躍している。舞台では男役的な役から美しい女性役まで幅広く演じられるのが強みだ(男っぽくしているとはいっても、素はとても美しい女性である)。退団後にもさらに男役らしさを追求している希有な存在でありながら、芸能活動も積極的に行っており、将来性が高いと考えられるため、番外でのランクインとした。

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宝塚退団後も「リアル彼氏」として活躍し続ける七海ひろき。(写真は2020年12月にキングレコードより発売されたBlue-ray『One-man LIVE773 “KINGDOM” ONLINE-SUMMER-』)

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 まだまだこのほかにも、芸能界で活躍されている宝塚OGは大勢おられる。そして活躍している方に共通しているのは、ストイックさや自己鍛錬の姿勢だろう。常に己と向き合い、高みを目指していく―――。宝塚の現役時代から培ってきた芸への向き合い方を、OGとなってからも継続しているOGこそが、芸能界で成功されているのだ。

『おちょやん』に出演されている、比較的近年に退団されたばかりの宝塚OG達の今後にも注目したい。

wojo

wojo

都内某病院勤務のアラフォー女医。宝塚ファン歴20年で、これまでに宝塚に注いだ“愛”の総額は1000万円以上。医者としての担当は内科、宝塚のほうの担当は長らく月組だったが雪組に鞍替え中。

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