武田薬品、有利子負債「3.9兆円」という隠れた爆弾…なりふり構わぬ事業切り売りの画像1
武田薬品のグローバル本社(「Wikipedia」より)

 武田薬品工業によるアイルランド製薬大手シャイアーの買収から2年あまりが経過した。日本のM&A史上最大の買収額(9兆円、負債2兆円を含む)となったことで注目された。シャイアーは武田の完全子会社になり、売上高は両社の単純合計で3兆4000億円に達し、世界第9位のメガ製薬会社が誕生した。

 武田は、がん、中枢神経、消化器系疾患、ワクチンを中核事業としてきた。シャイアーの買収で新たに希少疾患と血液製剤が加わり、6つの分野で今後は成長する戦略を打ち出した。一方で、買収前に6911億円だった有利子負債は、シャイアー買収後の19年3月期に5.4兆円まで膨らんだ。格付け会社ムーディーズは武田の格付けを3段階引き下げた。

 この2年間、武田は膨らんだ負債の圧縮に専心してきた。100億ドル(1兆600億円)の目標を掲げ、資産売却に着手。第1弾として19年にシャイアーの医療用眼科薬「シードラ」をスイスのノバルティスに最大5800億円で売却した。「シードラ」の18年の売り上げは、世界で420億円あった。

 武田が販売してきた手術用のパッチ剤「タコシル」も米ジョンソン・エンド・ジョンソンの手術用機器子会社に440億円で売り渡した。一般用医薬品子会社、武田コンシューマーヘルスケアを米投資ファンド大手ブラックストーン・グループに2420億円で譲渡、ビタミン剤「アリナミン」や風邪薬「ベンザ」といった武田の顏といえる大衆薬がなくなった。武田コンシューマーヘルスケアの20年3月期の単体売上高は608億円、営業利益は128億円をあげていた。クリストフ・ウェバー社長は「成長を促す投資ができないなら持ち続けるのは正しくない」と売却を正当化した。

 21年3月31日、ブラックストーンへの売却手続きが完了。社名はアリナミン製薬に変更された。高い知名度を誇る商品を社名に冠することでブランド力を高める戦略だ。アリナミン製薬の初代社長にはエーザイ副社長を務めた本多英司氏が就任した。アリナミンのテレビCMも大きく変わった。

 中国で販売している高血圧治療薬「エブランチル」を含む循環器疾患の医薬品を中国の製薬会社ハステンバイオファーマシューティックに330億円で売る。21年6月末までに手続きを完了する。

 さらに、4月1日、国内の糖尿病事業を帝人傘下の帝人ファーマに1330億円でトレードする。糖尿病薬はかつては主力分野だったが、現在は重点分野に含まれていない。具体的には糖尿病薬の「ネシーナ」「リオベル」「イニシンク」「ザファテック」の4品目で20年3月期の国内売上高は308億円。武田が国内で製造販売する糖尿病薬は1つだけとなった。事業売却の目標額を100億ドルとしてきたが、19年1月以降、12件で最大約129億ドル(約1兆4000億円)に上る。

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