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藤和彦「日本と世界の先を読む」

なぜ、コロナ禍でも世界で不動産ブームが起きているのか?住宅価格高騰、予測不能状態に

文=藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー
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「Getty Images」より

 新型コロナワクチンの接種が進み経済がV字回復しつつある米国で、気になる現象が生じている。空前の不動産ブームである。

 6月29日に発表された全米の住宅価格の指標となるS&Pコアロジック・ケース・シラー指数(今年4月時点)は、前年同月比14.6%上昇し、過去30年あまりで最大の伸びとなった。昨年10月以降、上昇率が平均で10%を超えており、今年3月時点の米国の住宅価格の水準は、前回の住宅バブルのピークだった2006年4月を16.8%も上回っている。

 住宅ローン金利が10回以上も史上最低を更新したことに加え、コロナ禍を機に在宅勤務が増え、都市部から郊外へ移り住む人が増加したことで住宅ブームに火が付いた形である。米国の木材価格がこの1年で6倍に高騰したことも、住宅価格の急上昇に拍車をかけた。材料不足に加え、資材を運ぶトラック運転手をはじめ労働力不足が顕著であることから、「米国の住宅市場は『ハイパー・インフレ』に見舞われている」との叫び声が聞こえてくる(6月24日付ブルームバーグ)。

 突然の住宅ブームにより「米国の住宅不足の解消までに10年を要する」との見方が浮上している(6月24日付Forbes)が、購入希望者にとって住宅が「高嶺の花」になってしまえばブームは終焉を迎えてしまうことは過去の歴史が示すとおりである。

 2005年から06年にかけての住宅バブルがその後の金融危機の起点となった経緯から、一部に「足元の不動産ブームが今後金融システムの安定を損ねる事態を招くのではないか」との懸念の声が上がっているが、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は「2000年代半ばの住宅バブルとは構図が異なる」と指摘する。当時、家計債務はGDP比で100%近くに達していたが、現在は80%程度にとどまっている。サブプライムと呼ばれる低所得者向けの融資が横行し、収入に見合わない住宅購入が相次いでいたが、今回はこのような問題含みの融資は見当たらないというのがその理由である。

加熱する住宅市場、冷却の動き

 不動産ブームは米国にとどまらない。世界的に住宅価格が急騰しており、リーマンショック前の2006年第4四半期以来の上昇率となっている。6月3日に発表された不動産仲介会社ナイト・フランクの世界住宅価格指数レポートによれば、今年3月までの1年間に住宅価格は平均で7.3%上昇し、コロナ禍で住宅市場が突出して好調ぶりを示していることがわかる。国別に見ると、トルコの32%上昇がトップ、続いてニュージーランド(22.1%上昇)が続き、米国は5位(13.2%)となっている。

 前回のサブプライムローンのような問題は表面化していないが、大手銀行からノンバンクへの融資が2020年末で1.6兆ドルと過去最大となっており、金利高騰などで市場にショックが加われば不動産マネーが逆回転しかねない。

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