ビジネスジャーナル > 企業ニュース > 松坂大輔級の怪物、音楽界にも
NEW
篠崎靖男「世界を渡り歩いた指揮者の目」

松坂大輔が引退、実は音楽界にも“怪物”がゴロゴロ…意外と体力勝負なオーケストラ楽員

文=篠崎靖男/指揮者
松坂大輔が引退、実は音楽界にも怪物がゴロゴロ…意外と体力勝負なオーケストラ楽員の画像1
レッドソックス時代の松坂大輔(「Wikipedia」より/UCinternational)

 “平成の怪物”と呼ばれ、日米で活躍した松坂大輔投手がとうとう引退を決めました。1980年生まれの彼が、西武ライオンズ(現埼玉西武ライオンズ)の選手として初登板したのは、高校を卒業したばかりの1999年4月7日。8回2失点で勝利投手として華々しいデビューを飾りました。

 その後、オリンピックの代表選手に2度選ばれるなど、それこそ怪物ぶりを発揮し、27歳の時には念願の米大リーグ入り。6年、総額5200万ドル(当時のレートで約61億円)というビッグな契約にも驚きましたが、ボストン・レッドソックス移籍後、最初シーズンでチームはワールドシリーズに出場。さらに松坂投手は、日本人初のワールドシリーズ勝利投手となりました。

 当時のアメリカでは、「マツザカはジャイロボールを投げる」という噂まで流れ、アメリカの打者も目を白黒させていました。

 その後、怪我や故障が続いて、以前のような活躍は見られなくなり、とうとう引退することになったのは残念です。大活躍の時間は短かったとはいえ、とてつもない投手だったのは間違いありません。

 スポーツの場合、最盛期はあっという間に過ぎていくので、体力も知力もまだまだあるような年齢で引退となってしまいます。現在、松坂大輔は40歳で現役を退くことを決意したわけですが、彼と同世代の投手は多くがすでに引退し、現役を続けているのは福岡ソフトバンクホークスの和田毅投手のみとなりました。

 野球選手としては多くが引退するとはいえ、一般社会ではまだまだ働き盛りで、将来の出世を願いながらバリバリ働いている年齢です。

高齢になっても働ける音楽家

 実は、演奏家も同じく、40歳ごろはもっとも乗りに乗っている年齢でしょう。体力の衰えを感じ始める50代になっても、その音楽には磨きがかかっていきます。定年のないアメリカのオーケストラでは、60代、70代を迎えても、そのオーケストラの顔ともいえるような有名な演奏者が活躍していますし、ヴァイオリンやピアノのソリストで、80歳の大巨匠がいるような世界です。

 とはいえ、そんな怪物は特別として、オーケストラの演奏家は、実は体力勝負です。「これって、ほとんど体育会系じゃない?」と思うような世界なのです。

 ドイツのオペラ作曲家ワーグナーの作品に、『ニュルンベルクの大歌手』という有名なオペラがあります。内容は愛あり、笑いあり、ドイツ精神あり、悪だくみあり、大騒ぎありの“なんでもあり”の大人気オペラなのですが、その第3幕の演奏時間は、なんと2時間。演劇と違って、オペラはずっと音楽が流れているわけで、特に弦楽器などは弓を持った右腕と、弦を押さえている左腕を下ろすこともほとんどなく、ずっと弾き続けているのです。

篠﨑靖男/指揮者、桐朋学園大学音楽学部非常勤講師

篠﨑靖男/指揮者、桐朋学園大学音楽学部非常勤講師

 桐朋学園大学卒業。1993年ペドロッティ国際指揮者コンクール最高位。ウィーン国立音楽大学で研鑽を積み、2000年シベリウス国際指揮者コンクールで第2位を受賞し、ヘルシンキ・フィルを指揮してヨーロッパにデビュー。 2001年より2004年までロサンゼルス・フィルの副指揮者を務めた後ロンドンに本拠を移し、ロンドン・フィル、BBCフィル、フランクフルト放送響、ボーンマス響、フィンランド放送響、スウェーデン放送響、ドイツ・マグデブルク・フィル、南アフリカ共和国のKZNフィル、ヨハネスブルグ・フィル、ケープタウン・フィルなど、日本国内はもとより各国の主要オーケストラを指揮。2007年から2014年7月に勇退するまで7年半、フィンランド・キュミ・シンフォニエッタの芸術監督・首席指揮者としてオーケストラの目覚しい発展を支え、2014年9月から2018年3月まで静岡響のミュージック・アドバイザーと常任指揮者を務めるなど、国内外で活躍を続けている。現在、桐朋学園大学音楽学部非常勤講師(指揮専攻)として後進の指導に当たっている。エガミ・アートオフィス所属

●オフィシャル・ホームページ
篠﨑靖男オフィシャルサイト
●Facebook
Facebook

松坂大輔が引退、実は音楽界にも“怪物”がゴロゴロ…意外と体力勝負なオーケストラ楽員のページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!