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木下隆之「クルマ激辛定食」

新型シビック、ガソリンエンジンが大幅進化!電動化推進のホンダ、皮肉なほど高すぎる完成度

文=木下隆之/レーシングドライバー
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ホンダ・新型シビック

 1972年に初代がデビューし、それ以来、本田技研工業(ホンダ)の伝統的主力モデルとして君臨してきた「シビック」が49年目の今年の秋、11代目となって誕生する。

 メカニズムを極力小さく抑え人のスペースを最大限に確保する“MM思想”の伝統は、11代目にも受け継がれる。特にリスペクトしているのは、「ワンダーシビック」の愛称で親しまれた3代目だ。ボディは薄く低くデザインされており、タイヤの存在が強調されている。ピラーは細く、明るく解放的なグラッシーキャビンが特徴だった。その3代目にシビックのDNAを感じたホンダは、11代目にそのテイストを盛り込んだという。グランドコンセプトは「爽快シビック」である。

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 ともあれ、10代目、つまり先代とイメージは似ている。全長は35mm伸ばされ、居住スペースに有効なホイールベースも30mm延長されている。それでいて全高は低く抑えられている。前後に長く低いフォルムが与えられているのだ。フロントマスクやテールエンドの筆遣いは改められたが、サイドシルエットは先代と酷似しており、正常進化であることは明白だ。

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 搭載するエンジンも基本的に踏襲する。直列4気筒1.5リッターターボガソリンエンジンのみの設定。ホンダは2030年までには四輪車の3分の2を電動化し、2040年にはすべてのモデルを電動車にすると公言している。ホンダがいう電動車とは、内燃機関を併用するハイブリッドも、水素を燃料として内燃機関を駆動する水素燃料車も排除するという徹底的なものであるにもかかわらず、そのホンダの新型シビックがガソリンターボのみの設定であることは興味深い。

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 とはいえ、2022年には激辛スポーツ仕様の「タイプR」の追加が決定している。並行して「e:HEV(ハイブリッド)」の投入もアナウンスされている。今後、電動化の計画はあるものの、まずはガソリンエンジンでのスタートである。

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 そのガソリンエンジンが大幅に進化したというから、皮肉なものだ。エンジン本体の設計は踏襲しているものの、クランクシャフトやオイルパン等の剛性を飛躍的に高めた効果で、格段に上質なフィーリングとなった。ガサツなフィーリングが消え、上級モデルであるかのような味付けなのである。これほど完成度が高まったエンジンが、やがて生産中止になるとは、にわかに信じられない。それほど心地いいのである。

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 エンジン特性は乗りやすさを優先に味付けされている。爆発的なパワー感はないが、ハーフスロットルからの踏み増しなど、日常的なアクセルコントロール領域での反応と力強さがある。レスポンスが武器である電気自動車(EV)に太刀打ちしようとしているかのごときフィーリングが心地よかった。

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 組み合わされるミッションはCVT(無段変速機)と6速MT(手動変速機)の2種類。CVTは不快なラバーフィーが改善されている。エンジンサウンドの高まりに比例して加速力もシンクロする。音だけ先行するような鈍い感覚が薄れたことで、よりガソリンエンジンとの相性が良くなっているのだ。

 6速MTは、目の醒めるような小気味よいシフトフィールであり、世界的にもトップレベルの完成度である。再び、やがて姿を消すのかと思うと郷愁に駆られる。

 新型シビックは、これからも最量販モデルとして君臨していくに違いない。そして来るべき電動化時代への反抗のように感じるほど完成度が高い。
(文=木下隆之/レーシングドライバー)

●木下隆之
プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

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