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超優良会社の家庭教師のトライ、元女優・二谷友里恵“社長”が巨額の株式売却益か

文=編集部
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「株式会社トライグループ」本社ビル(「Wikipedia」より)

家庭教師のトライ」を展開するトライグループ(東京・千代田区、非上場)を、英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズが買収する。買収額は1100億円。新型コロナウイルスの感染拡大下でオンライン教育が浸透するなか、トライは人工知能(AI)関連の投資を増やし競争力を高め、3~4年後の株式上場を目指す。

 月内にも買収契約を結ぶ。CVCは買収のためにSPC(特別目的会社)を設立し、創業者の平田修会長や二谷友里恵社長からトライ株を全株取得する。その後、平田会長と二谷社長は売却で得た資金を活用してSPCに再投資することで経営に関与する。

 二谷友里恵さんは元女優。俳優の故・二谷英明氏と女優の故・白川由美さん夫妻の一人娘。高校生の時に芸能界にデビュー。87年、慶應義塾大学文学部国文学専攻卒業、歌手の郷ひろみさんと結婚、話題を集めた。結婚と同時に女優業を引退。2女をもうける。1998年、郷さんと離婚。2000年、トライグルーブの創業者・平田修氏と再婚。2005年、トライグループの社長に就任した。

 平田修氏は立教大学経済学部卒。個人で塾を経営していたが、1987年1月、富山大学の学生向けに家庭教師教育サークル「富山大学トライ」を設立し、家庭教師の派遣事業を始めた。これがのちに「家庭教師のトライ」となる。

 トライは現在、家庭教師の派遣のほか、個別指導塾を展開し、全国に1100カ所の拠点を持つ。社員はグループ全体で1273名、登録している教師・講師の数は約22万人。トライグループ(登記上本店は大阪市中央区)の20年5月期の決算公告(単体)によると、資本金は5000万円、当期純利益は3億6097万円、利益剰余金は101億2358万円。株主資本(103億2263万円)が総資産(200億269万円)の51.5%を占める超優良会社である。

 損益計算書は開示されていないが、日本経済新聞の報道によると、「21年5月期の売上高は約500億円、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は80億円強」だという。稼ぐ力に対して買収額1100億円は13倍を超える。買収予定額1100億円と、上場している教育サービス・学習塾の時価総額(10月12日終値時点)を比較してみると、その凄さがわかる。

 通信講座「進研ゼミ」のほか介護事業等を運営するベネッセホールディングス(2585億円)の次に位置する。高校生向け受験塾「東進ハイスクール」のナガセ(550億円)の2倍である。資本金5000万円のトライの株主構成は非公開だが、「平田・二谷夫妻が大半の株式を所有しているとみられる。会社を1100億円で売却すると、超がつく大富豪になる」(関係者)。

 しかも、夫妻はCVCの傘下に入った新生・トライに再投資する。トライが予定通り3~4年後に株式を公開するとなると、次は公開時のIPO(新規上場株)による株式売却益を得ることになる。一部の株式の売却にとどめるなら、持ち株に時価が発生する。つまり、“二度も三度もおいしい果実”を口にできるのである。

東芝の買収騒動で勇名を馳せたCVC

 CVCは、東芝の買収騒動で勇名を馳せた。東芝は4月7日、「CVCから買収提案を受けた」と明らかにした。株式の公開買い付け(TOB)を7月に実施し、10月に上場廃止。企業価値を高めた上で、3年後の再上場を目指す、というシナリオが語られた。買い付け価格は1株5000円。4月6日の終値に3割ほどのプレミアムをつけた。この水準で東芝の全株を買えば、買収総額は2兆円を超える。

 利益の還元を早急に求める投資ファンドなどのアクティビスト(もの言う株主)からのプレッシャーに東芝の経営陣はさらされており、株式を非公開にして株主の攻勢から逃げたいとの思いが強かったようだ。

 CVCがアクティビストに追い込まれた車谷暢昭社長(当時)を救済するホワイトナイト(友好的買収者)の役割を買って出て、うるさ型の株主に退場してもらうという別のシナリオも取り沙汰された。車谷氏の古巣であるCVCによる“救済大作戦”だったのだが、情報の出方が不透明で、結局、車谷氏は退任せざるを得なくなり、CVCもダメージを受けた。

 CVC日本法人代表の赤池敦史氏は東芝の社外取締役だった藤森義明氏(LIXILグループ元社長)が東大在学中に所属したアメリカンフットボール部「ウォーリアーズ」の後輩だった。藤森氏は「車谷氏の盟友」(東芝の関係者)といわれていた。車谷氏は「プロ経営者」の異名をとる藤森氏を東芝の社外取締役に招いた。19年6月のことだった。

 東芝の取締役会議長の永山治社外取締役(中外製薬名誉会長)が車谷氏の解任に動いたため、それを察知した車谷氏は4月14日辞任した。「事実上の解任」(同)である。そのCVCが、汚名返上とばかりにトライグループを買収する。

(文=編集部)

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