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秀岳館サッカー部監督『スッキリ』で涙の謝罪→裏で部員を脅迫&揉み消しが判明し物議

文=Business Journal編集部、協力=山岸純弁護士/山岸純法律事務所代表
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段原一詞監督(秀岳館高校サッカー部のHPより/一部加工)

 秀岳館高校サッカー部のコーチ(同校教諭)が部員に暴行をはたらいていた問題で、サッカー部の段原一詞監督は25日放送の情報番組『スッキリ』(日本テレビ系)に生出演し“涙の釈明”を行ったが、実はその一方で段原監督は、暴行動画をネット上に投稿した部員に対して「俺たちは被害者だ」「俺が弁護士たちに被害を受けたと訴えたら、どうするか」などと脅していたことが判明した。

 騒動の発端は20日、男性コーチが部員に激しい暴行を加える動画がネット上に投稿され、拡散したことだった。翌21日にはテレビのニュース番組などでも取り上げられ一気に人々に知られるところとなり、地元の八代警察署もコーチや部員への聞き取りなど捜査に乗り出すなか、22日にはサッカー部の公式TwitterアカウントとInstagramに動画が投稿され、11人の部員が顔を出して登場し謝罪の言葉を述べた。

 しかし翌23日には動画は削除され、公式Twitter上には

「昨日の自分達が投稿した動画を削除した理由ですが、自分達が伝えたいこと、保護者やサッカー部を応援してくださっている皆様に知ってほしいことを自分達が発信することによって聞いてほしくて出した動画が結果的に学校や監督、コーチに対して迷惑がかかる形になってしまい削除の運びとなりました」

「あくまでも今回の動画は自分達サッカー部員の有志が考え行動したことになります。また公式Instagram、Twitterはプロフィールに書いてある通り生徒で企画、運営を行っています。ご理解よろしくお願いします」

とその理由を説明するツイートが投稿された。

 一方、学校側は不可解な対応をみせている。22日にサッカー部のHP上に

「このたびは世間をお騒がせしてしまっていることを深くお詫びいたします。現在、学校と連携して調査を進めております。保護者の皆様、地域の皆様にはご心配、ご迷惑をお掛けして申し訳ございません」

と書かれたコメントを掲載する以外は一貫して沈黙。学校法人理事長でもある中川靜也校長をはじめ学校側は会見などを開かず対外的な説明を拒み続けるなか、25日には突如、サッカー部の段原監督が『スッキリ』に生出演し、目に涙を浮かべて次のように釈明した。

「今回の暴行動画のようなシーンは見たことがありません」

「責任は我々大人にあります。子どもたちはこの騒動のなか、未来に向けて、もう一歩を踏み出そうとしています。私が責められるのは全然大丈夫です。ただ、子どもたちが進むためにはコーチの力も必要なんです」

 だが、その生出演直後、事態は大きく動く。滝沢ガレソ氏が自身のTwitterアカウント上に、サッカー部の指導者とみられる人物が、暴行動画をネット上に投稿した部員に対して次のように語る音声を投稿。26日には、その発言主がサッカー部の段原監督であることを本人が認めた。

「だから、俺たちは被害者だ。意味わかる? でも完全な被害者は、多分俺だけ。俺が訴えたらどうなる? 世の中そうなるよ。これ、俺に迷惑かかっとる。完全に」

火消しを急いで躍起、裏目に出たのか

 全国紙記者はいう。

「段原監督をめぐっては、部員たちが公式Twitterに投稿した謝罪動画を『学校が対応に追われ、迷惑がかかっている』と言って削除させたと、地元の熊本日日新聞が報じている。段原監督は秀岳館高校で校長補佐という立場にもあり、経営サイドの人間でもある。なんとか早期に鎮静化を図ろうとテレビに出て芝居を打ったり、部員たちを陰で恫喝するといった行動に出たのかもしれない。

 だが段原一詞監督を含めた学校サイドがまずやるべきことは、しっかりと事実を調査して生徒や保護者、そして世間に向けて説明を行い、関係者にしかるべき処分を下し、一日でも早くサッカー部が平常の活動を行える環境に戻すこと。これまで学校側は会見など行わず一貫して黙秘を貫いているが、真相をうやむやにしたまま幕引きを図ろうとする学校側の動きは、単なる隠蔽行為にすぎない」

 秀岳館高校といえば、全国高校サッカー選手権に出場歴もあり、全校生徒約1000人のうち5分の1にあたる約200人がサッカー部に所属するサッカー強豪校として知られているが、今回の段原監督の行動について、別の高校関係者はいう。

「スポーツ強豪校の監督はチーム内で絶対的な権力を持っており、段原監督も部員に圧力をかければ真相を揉み消せると考えていたのかもしれないが、部員を甘く見ていたというしかない。それだけチーム内で監督やコーチ陣への不満や反発があったということ。

 選手たちによる謝罪動画も彼らが自主的にやったとされているが、段原監督が上級生たちに対して“今、お前たちで何ができるのか自分で考えて行動しろ”などと言って、間接的に動画の投稿を促していた可能性も考えられる。この監督であれば、それくらいのことは、やりかねないのでは。

 強豪校の部活動の監督もキャリアが大事で、もし不祥事で汚点がついたりすれば、その後の指導者としての人生にも影響してくる。そのため、テレビに出て涙を流してみせたり、部員にコソコソと圧力をかけたりして、火消しを急いで躍起になったことが裏目に出たという印象。本人は“迅速な対応”だと思い込んでいるのかもしれないが、意味をはき違えている」

 当サイトは4月26日付記事『「俺は被害者」秀岳館サッカー部暴行、段原監督が部員を脅迫する音声流出…隠蔽の意図か』でこの問題について取り上げていたが、改めて以下に再掲(一部抜粋)する。

――以下、再掲載――

 秀岳館高校といえば、サッカー部は全国高校サッカー選手権に出場歴もあり、野球部も2017年にはセンバツで3季連続のベスト4入りを果たすなど有名校。全校生徒約1000人のうち、5分の1にあたる約200人がサッカー部所属、約70人は野球部所属というスポーツ強豪校として知られている。

「野球部は14年に元パナソニック専務でボーイズリーグ指導者だった人物を監督に招へいし話題を呼んだが、学校としてもスポーツに力を入れている。それだけに、もしスポーツ部活動で問題が起きれば、来年以降の志願者減、つまり生徒数減に直結する可能性もあり、学校サイドは今回の問題を大きくさせまいと逃げているようにみえる」(前出記者)

部員たちが受けるプレッシャー

 また、別の高校の関係者はいう。

「世間が思っている以上に、今ではスポーツ強豪校であっても体罰を厳しく禁じている。簡単にスマホで動画を撮影してネット上で拡散されるし、殴った人物もあっという間に特定され、教諭であれば職を失うリスクもある。また、連盟なども敏感になっているので、監督やコーチによる体罰だけでなく、上級生から下級生に対するものなど部員同士の暴力も、公になれば一発で出場停止処分となってしまう。

 今回問題となっている動画を見る限り、コーチが大きく部員を蹴り上げたり殴ったりと、生徒が重症を負う危険も感じ、“軽い体罰”で済まされるレベルではない。生徒に暴力をはたらいたり暴言をはく教師というのは、その人に染み付いた資質みたいなものなので何度も繰り返す。将来、このような教諭による被害者が出ることを防ぐためにも、刑事事件として警察がしっかりと介入して捜査し、しかるべき処分が下される必要がある」

 部員による謝罪動画投稿、そして削除の背景について、この関係者はいう。

秀岳館がスポーツ推薦の制度をとっているのかはわからないが、スポーツ強豪校の場合、全国大会出場などチームの成績や試合での個人成績が、進学や、プロ入りまでいかなくとも社会人チーム加入というかたちでの就職など、その後の進路に大きく結びつく。それだけに“部活をやめられない”“チームに迷惑をかけられない”という心理が働きやすく、理不尽な目に遭っても声を上げられないという圧力を受ける。

 もし仮に部員たちが自主的な判断で謝罪動画をアップし、段原一詞監督から指示されるかたちで削除していたのだとすれば、部員の9割が寮生活という閉鎖的な空間に置かれていることを踏まえても、大きなプレッシャーを受けているであろう彼らの精神状態が心配される」

 25日に流出した音声内では、指導者とみられる人物が部員に対し「俺が訴えたらどうなる?」などと語っており、脅迫的だという批判も出ているが、こうした発言が違法性を問われる可能性はあるのだろうか。山岸純法律事務所代表の山岸純弁護士は次のように解説する。

山岸弁護士の解説

 まずもって、教育の現場において暴力をふるうことは、いかなる理由があっても許容されません。そして、部員が暴力の動画をアップしたこと自体は(その動画をアップすることが、悪ふざけ目的としていじめの一貫である場合を除き)何らの責めもありません。したがって、暴力をふるったこと、動画をアップした部員を非難したことは、まったくもって正当化できません。

 この“指導者”は、部員が未成年であり未熟であることにつけこみ、「被害者」「訴え」「弁護士」「損害賠償」などと、わざと世間を知らない部員が畏れるような言葉を使い、事件の隠匿を図ったのでしょう(「弁護士」という言葉を脅しに使うなよ、ホントに!)。このような言動は、脅迫などの刑法犯が成立することはないまでも、“指導者”に最低限求められる素質を欠くものであり、教員であれば適切な処分がなされるべきですし、強い社会的非難が加えられるべきです。

 そもそもこの事件、動画の“放流”、部員による謝罪のSNS、監督のテレビ出演、すべてがちぐはぐです。状況からして、「指導者が暴力をふるった」事実の隠蔽が試みられたからでしょう。今後は、「指導者が暴力をふるった」、すなわち暴行罪ないし傷害罪について動かない真実として問題視し、部員を脅した行為などは、この“指導者”の「犯行後の悪い事情」として刑事事件において厳しく処断してもらうべきです。

 最後になりますが、学校側としては、サッカーの名門校だけに「今の指導者」たちを忖度してあげたい気持ちがゼロではなかったからこそ、こんなちぐはぐな対応になったと考えられます。確かに、生徒は3年でいなくなる(卒業する)のに対し、「秀岳館サッカー部」は長い年月続くのであるから、「今の指導者」をかばいたいという気持ちは否めませんし、実際、これがあったのでしょう。しかし、それは「教育」ではなく「学校の経営」です(褒められる経営ではありませんが)。

「教育」と「学校の経営」をゴッチャにした結果が、今回の事件の端緒であることに間違いありません。

(文=Business Journal編集部、協力=山岸純弁護士/山岸純法律事務所代表)

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時事ネタや芸能ニュースを、法律という観点からわかりやすく解説することを目指し、日々研鑽を重ね、各種メディアで活躍している。芸能などのニュースに関して、テレビやラジオなど各種メディアに多数出演。また、企業向け労務問題、民泊ビジネス、PTA関連問題など、注目度の高いセミナーにて講師を務める。労務関連の書籍では、寄せられる質問に対する回答・解説を定期的に行っている。現在、神谷町にオフィスを構え、企業法務、交通事故問題、離婚、相続、刑事弁護など幅広い分野を扱い、特に訴訟等の紛争業務にて培った経験をさまざまな方面で活かしている。

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