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ニトリ、ヤマダと全面戦争へ…エディオンと資本提携の隠された狙い

文=Business Journal編集部
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ニトリの店舗

 家具・インテリア大手のニトリホールディングス(HD)は、家電量販店大手のエディオンと資本業務提携した。ニトリはエディオンの株主である住宅設備大手LIXILから102億円で8.6%のエディオン株式を買い取った後、残りの1.4%を市場外相対取引または市場で買い付けることで取得。ニトリが持つエディオン株式は合計10%となる。ニトリは2021年9月末時点で筆頭株主である日本マスタートラスト信託銀行(10.37%を保有)に次ぐ、第2位の大株主となる。

 ニトリの短期的狙いは家電販売の強化だ。ニトリは2013年からの10カ年の中長期経営計画のなかで「事業領域の拡大」を掲げている。創業以来の家具やインテリア用品などホームファッション商品のほか、自社ブランドの家電にも進出し、商品群の拡充を進めてきた。テナントに家電量販店を誘致しており、エディオンもニトリの一部店舗で営業している。

 今回の提携を機に、家電分野の販売をさらに強化。両社は商品や店舗の共同開発、インターネット販売での連携や物流網の相互利用などを検討する。一方、エディオンはニトリの集客力を活用し、事業の拡大を図りたいとしている。

ニトリvs.ヤマダ、全面戦争に突入

 ニトリHDは22年2月期の連結決算で35期連続の増収増益を達成した。株式上場後だと32期連続となる。世界最大の小売企業、米ウォルマートの記録と並んだ。22年2月期の売上高は前期比13%増の8115億円、営業利益は0.4%増の1382億円、純利益は5%増の967億円だった。しかし、主力のニトリの既存店売上高は前年比1割近く落ち、売上高は6792億円と21年2月期に比べて5%減少した。ホームセンターの島忠を子会社にした効果で35期連続の増収増益を確保したものの、島忠の寄与がなかったら減収になっていた。

 似鳥昭雄会長は、「前期は厳しかった。前々期が毎月50%近く(売り上げが)アップしていたので、予想していた以上に反動があった」と語り、巣ごもり需要に沸いた1年前、2年前の反動減がきつかったとの認識を示した。23年3月期は決算期末を2月20日から3月末に変更したため、13カ月と11日の変則決算になる。売上高は9636億円、営業利益1506億円、純利益は1040億円を見込む。

「12カ月を前提としても増収増益だ」(ニトリ)としているが、36期連続の増収増益の達成のハードルはかなり高い。巣ごもり需要の一巡、円安による原材料費高、物流費の高騰という「三重苦」をどう乗り越えるかが大きな課題だ。

「今後、増収増益を続けるため、一番大事にしている事業は」との質問に、似鳥会長は、「昨年買収した島忠の件もある。チャンスがあればM&Aをしていきたい。単独の取り組みには限界がある」と述べた。

「総合住関連企業だ。ヤマダデンキが建築から家具、インテリアを含めて住関連提案企業に変貌しているが、僕はそういうやり方は正しいと思う。わが社はホームセンターの方から家電もと宣言した。家電はニトリだけでなく、島忠も含めて家電専門店をテナントとして導入する一方で、自社の家電製品も拡充していく」(似鳥会長)

 山田昇会長兼社長兼CEOが率いるヤマダホールディングス(旧ヤマダ電機。20年10月に社名変更)は“暮らしまるごと”を謳っている。ニトリも未来予想図として住関連提案企業になることを想定している。

 ヤマダは住宅メーカーのエス・バイ・エルや大塚家具などを買収して家電から事業領域を拡大した。21年9月、ホームセンター「ビバホーム」を運営するアークランドサカモト(プライム市場上場)と業務提携した。ヤマダはリフォーム事業にも力を入れている。22年3月期に727億円だった同事業の売上高を、25年同期に1000億円の大台乗せを目指す強気の計画を掲げている。

 ニトリが決定的に立ち遅れているのがリフォーム事業だ。22年2月期の「法人&リフォーム」事業の売り上げは103億円にとどまる。一方、エディオンの22年3月期の連結決算は売上高が前期比7%減の7137億円、純利益が21%減の131億円だった。特別給付金の支給で買い替え需要が盛り上がった21年3月期の反動で、エアコンや冷蔵庫などの大型家電の売り上げが振るわなかった。そんななかでリフォーム事業は拡大中。リフォーム関連の売上高は572億円あり、リフォーム業者として国内で10指に入る規模を誇る。

 ニトリはエディオンのネットワークを活用して、リフォーム事業を強化するのが、資本提携したもう1つの狙いだ。エディオンの力を借りて、リフォーム事業で大差をつけられているヤマダを追いかける。住総合企業を標榜するヤマダとニトリは、事業領域が、さらに重なってきた。ヤマダとニトリは全面戦争に突入したとの見方が広まっている。

(文=Business Journal編集部)

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